廃棄物処理法とは?排出事業者の義務と罰則をわかりやすく整理
廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律、略称:廃掃法)は、廃棄物の排出を抑え、適正に処理するためのルールを定めた法律です。企業の総務・環境担当者にとっては、委託契約やマニフェストなど日々の実務の根拠になる法律です。
この記事では、法律の全体像と、排出事業者が守るべき義務、違反したときの罰則を一覧で整理します。(2026年10月時点の法令・公的機関の公表資料にもとづいて作成しています。)
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
廃棄物処理法の目的と全体像
法律の目的は、廃棄物の排出を抑え、分別・保管・収集・運搬・再生・処分などを適正に行うことで、生活環境を保全し、公衆衛生を向上させることです(第1条)。
- 廃棄物の区分:一般廃棄物と産業廃棄物、それぞれの特別管理廃棄物
- 排出事業者の責任:自らの責任で適正に処理する義務、委託の基準、マニフェスト
- 処理業者の許可:収集運搬業・処分業の許可、処理施設の設置許可
- 行政の監督:報告徴収、立入検査、改善命令、措置命令
- 罰則:不法投棄や無許可業者への委託などへの刑事罰
一般廃棄物と産業廃棄物
| 区分 | 内容 | 処理の責任 | 委託先の許可 |
|---|---|---|---|
| 産業廃棄物 | 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定める20種類 | 排出事業者 | 都道府県知事(政令市長)の産業廃棄物処理業の許可 |
| 事業系一般廃棄物 | 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、産業廃棄物以外(紙くず・食品残さなど、業種によって異なる) | 排出事業者 | 市町村長の一般廃棄物処理業の許可 |
| 家庭系一般廃棄物 | 家庭から出る廃棄物 | 市町村 | — |
| 特別管理廃棄物 | 爆発性・毒性・感染性など、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがあるもの | 排出事業者(特別な管理基準あり) | 特別管理の許可 |
同じ紙くずでも、建設業や製造業など特定の業種から出る場合は産業廃棄物、それ以外の業種では事業系一般廃棄物になるなど、区分は業種によって変わります。区分を誤ると、許可のない業者への委託につながるため注意が必要です。
排出事業者が守るべき主な義務
| 場面 | 義務 | 主な条文 |
|---|---|---|
| 保管 | 保管基準を守る(掲示板の設置、飛散・流出の防止など) | 第12条第2項 |
| 委託 | 許可業者に委託し、書面で契約を結ぶ(委託基準) | 第12条第5項・第6項 |
| マニフェスト | 委託のたびに交付し、返送を確認して保存する | 第12条の3 |
| 確認 | 処理の状況を確認し、適正な処理が行われるよう努める | 第12条第7項 |
| 管理体制 | 特別管理産業廃棄物を出す事業場には管理責任者を置く | 第12条の2第8項 |
| 報告 | 多量排出事業者の処理計画・実施状況報告、紙マニフェストの交付等状況報告 | 第12条第9項・第10項、第12条の3第7項 |
6月30日が期限の報告は多量排出事業者の処理計画・実施状況報告の書き方とマニフェスト交付等状況報告書の書き方で詳しく解説しています。
主な罰則
| 違反の例 | 罰則 |
|---|---|
| 不法投棄、無許可業者への委託、無許可営業 | 5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)。不法投棄などは法人に3億円以下の罰金 |
| 委託基準違反(書面契約なしなど) | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり) |
| マニフェストの不交付・虚偽記載・保存義務違反 | 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金 |
| 帳簿・報告・立入検査に関する違反 | 30万円以下の罰金 |
| 多量排出事業者の処理計画・報告の未提出 | 20万円以下の過料 |
2025年6月1日から、懲役は「拘禁刑」に改められています。両罰規定(第32条)により、違反した従業員と法人の両方が処罰の対象になります。違反事例と社内体制は廃棄物コンプライアンス完全ガイドで解説しています。
実務で押さえる順番
- 1. 区分を確認する:自社から出る廃棄物が産業廃棄物か事業系一般廃棄物かを品目ごとに整理
- 2. 委託先と契約を確認する:許可の品目・期限と、契約書の記載事項を点検
- 3. マニフェストの運用をそろえる:交付・返送確認・保存の手順を統一(電子化も検討)
- 4. 保管場所と報告を確認する:掲示板などの保管基準と、年1回の報告の要否を確認
排出事業者が負う責任の範囲は「排出事業者責任とは?」もあわせてご覧ください。
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よくある質問
Q. 廃掃法と廃棄物処理法は同じ法律ですか?
A. 同じ法律です。正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で、廃棄物処理法・廃掃法などと略されます。
Q. 有価物として売却するものも廃棄物処理法の対象ですか?
A. 有価物は廃棄物に当たらないため、原則として対象外です。ただし、有価物かどうかは取引の実態などから総合的に判断されるため、運搬費の方が高い場合などは注意が必要です。