多量排出事業者の処理計画・実施状況報告の書き方|対象・期限(6月30日)・様式と提出方法
前年度の産業廃棄物の発生量が多い事業場をもつ企業は、「多量排出事業者」として、毎年6月30日までに産業廃棄物処理計画書を、翌年度の6月30日までにその実施状況報告書を都道府県等に提出する必要があります。
この記事では、対象かどうかの判定から、様式、記載内容、提出方法、準備のスケジュールまでを、実務担当者向けに解説します。(本記事は2026年10月時点の法令と自治体の案内をもとにしています。様式や提出方法は自治体ごとに異なるため、提出前に事業場の所在地を管轄する都道府県・政令市の案内を確認してください。)
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
多量排出事業者とは
廃棄物処理法では、前年度の発生量が次の基準以上の事業場を設置している事業者を「多量排出事業者」とし、減量やリサイクルの計画づくりと、その報告を求めています(廃棄物処理法第12条第9項・第10項、第12条の2第10項・第11項)。
| 区分 | 対象となる発生量(前年度) | 提出書類 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物 | 1,000トン以上の事業場 | 産業廃棄物処理計画書・実施状況報告書 |
| 特別管理産業廃棄物 | 50トン以上の事業場 | 特別管理産業廃棄物処理計画書・実施状況報告書 |
- 判定は事業場ごと:会社全体の合計ではなく、工場・事業所など事業場ごとの発生量で判定します。
- 電子マニフェスト分も含める:電子マニフェストで委託した量も発生量に含めます。
- 建設業の扱い:建設工事では作業所(現場)が事業場にあたり、現場を総括する支店などごとにまとめて提出する運用が一般的です。取りまとめ方は自治体の案内を確認してください。
提出する書類と期限
| 書類 | 内容 | 提出期限 | 主な様式 |
|---|---|---|---|
| 処理計画書 | 当該年度の減量・リサイクルなどの計画 | 当該年度の6月30日 | 様式第二号の八(特管は第二号の十三) |
| 実施状況報告書 | 前年度に提出した計画の実施状況 | 翌年度の6月30日 | 様式第二号の九(特管は第二号の十四) |
前年度に処理計画書を出した事業者は、その年度の発生量が基準を下回っても、実施状況報告書の提出が必要です。初めて対象になった年は計画書だけ、2年目以降は「今年度の計画書」と「前年度の実施状況報告書」の2つを毎年6月30日までに出す、と覚えておくと整理しやすくなります。期限が土日祝日にあたる場合の扱いは自治体により異なります。
計画書・報告書に書く主な内容
- 事業場の概要:事業の種類、事業場の名称・所在地、計画期間
- 管理体制:廃棄物の処理に関する社内の責任者や体制
- 排出の抑制:前年度の発生量(現状)と、今年度の目標・取組
- 分別:分別の方法と、そのための取組
- 自ら行う再生利用・中間処理・埋立処分:自社で行う処理の量と目標
- 処理の委託:委託量、そのうち再生利用業者・認定業者などへの委託量と目標
数字の多くは「現状(前年度の実績)」と「目標(今年度)」の2列で書きます。前年度の実績は、委託分はマニフェスト、自社処理分は社内の記録から集計します。
提出方法と公表
- 提出先:事業場の所在地を管轄する都道府県知事(政令市などは市長)
- 提出方法:郵送・持参のほか、電子申請やメールで受け付ける自治体もあります。自治体独自のExcel様式を推奨している場合もあるため、最新の様式をダウンロードして使いましょう。
- 公表:提出された計画と実施状況は、自治体がインターネットで公表します。取引先や投資家の目に触れる情報として、数字の整合性に注意が必要です。
- 未提出の場合:計画書・報告書を提出しない場合は、20万円以下の過料の対象になります。
6月30日に間に合わせる準備スケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 3月 | 年度末の委託・自社処理の実績が出そろうよう、各事業場に集計の依頼を出しておく |
| 4月 | 前年度の発生量を事業場ごとに集計し、対象(1,000トン・50トン)かどうかを判定。紙マニフェストの交付等状況報告の集計とあわせて行うと効率的 |
| 5月 | 現状と目標を記入し、社内(工場長・本社)の確認を取る |
| 6月上旬〜中旬 | 自治体の最新様式で最終化し、提出。電子申請なら受付の記録を保存 |
複数の工場をもつ企業では、事業場ごとに担当者が違い、集計の方法がそろっていないことがよくあります。本社で集計の様式と締切を決めておくと、毎年の作業が楽になります。年間の締切は廃棄物管理担当者の年間スケジュール完全ガイド、工場ごとの運用の標準化は製造業の廃棄物管理で解説しています。
同じ6月30日が期限の報告として、紙マニフェストを使っている事業場には「マニフェスト交付等状況報告書の書き方」で解説している交付等状況報告もあります。
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よくある質問
Q. 有価物として売却したものは発生量に含めますか?
A. 判定に使う発生量の範囲(有償で売却したものの扱いなど)は、自治体の作成要領や手引きで示されています。有価物かどうかの判断も含め、提出先の手引きで確認してください。
Q. 今年度は1,000トンを下回りそうです。何を出せばよいですか?
A. 前年度に計画書を出していれば、前年度分の実施状況報告書は提出が必要です。翌年度は、その年度の前年度の発生量で、計画書が必要かどうかを改めて判定します。
Q. 複数の都道府県に工場があります。
A. 事業場ごとに、その所在地を管轄する自治体に提出します。様式や提出方法が自治体ごとに違うため、早めに確認しておきましょう。