【2026年度版】廃棄物関連事業の補助金・交付金一覧|産廃/一廃/リサイクル
廃棄物関連事業で設備投資を検討している経営者の方にとって、「どの補助金が自社に使えるのか」を把握することは、投資判断の第一歩といえます。産業廃棄物収集運搬業・中間処理業・一般廃棄物処理業・リサイクル事業など、業種によって活用できる補助金は異なります。
さらに国・都道府県・市区町村という3層構造でそれぞれ制度が存在するため、情報収集に膨大な時間がかかるのが実情です。
本記事では、廃棄物・リサイクル業界の経営者・管理部門担当者を対象に、国の主要補助金(環境省・経済産業省)を投資の目的別に整理した早見表を中心に、令和8年度(2026年度)の公募状況と、令和9年度に向けた準備の進め方を解説します(2026年10月時点の情報)。採択率を高める申請実務のポイントや、補助金と融資・税制優遇を組み合わせたトータル資金調達戦略も網羅的にカバー。設備更新や事業拡張の意思決定に、ぜひお役立てください。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
廃棄物関連事業で使える補助金:目的別早見表(2026年度版)
廃棄物関連事業の補助金は、「何に投資するか」から逆引きすると、自社に合う制度を早く絞り込めます。令和8年度に公募された主な国の制度を目的別にまとめました。
| 投資・事業の目的 | 主な制度(所管) | 補助率の目安 |
|---|---|---|
| プラスチック・金属・太陽光パネル・リチウム蓄電池のリサイクル設備 | プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業(環境省) | 1/2以内 |
| 重要な金属資源などの再生材を供給するための破砕・選別・積替保管などの設備 | 再生材供給サプライチェーン構築支援事業(環境省) | 1/2以内 |
| 廃棄物発電の電力や余熱を地域で使う設備、その事業化調査 | 廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業(環境省) | 1/2(調査は定額・上限1,500万円) |
| バイオプラスチック・再生材への代替、複合素材プラスチックや廃油のリサイクル、廃棄物由来SAFの実証 | 脱炭素型循環経済システム構築促進事業(プラスチック等資源循環システム構築実証事業)(環境省) | 中小企業1/2、その他1/3 |
| 再生材を使った製品の製造、環境配慮設計、リユース・リファービッシュ(大型投資) | 自律型資源循環システム強靱化促進事業(経済産業省) | 中小企業等1/2以内、大企業等1/3以内(下限1億円) |
| 中小企業の新分野への進出・革新的な設備投資 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(中小企業庁、2026年に統合) | 公募要領で確認 |
| 高効率な設備への更新(省エネ) | 省エネ補助金(経済産業省、名称は年度により変わる) | 公募要領で確認 |
| 市町村の一般廃棄物処理施設(焼却施設・リサイクルセンターなど) | 循環型社会形成推進交付金(環境省、市町村が申請主体) | 施設・要件により異なる |
出典:環境省・経済産業省・中小企業庁の公募発表(令和8年度)。補助率・対象・要件は年度ごとに変わるため、必ず最新の公募要領を確認してください。民間の処理業者が直接申請できない制度(循環型社会形成推進交付金など)もある点に注意が必要です。
なお、産業廃棄物処理業の許可を持つ事業者でも、中小企業の要件を満たせば、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金などの中小企業向けの補助金に申請できます。許可業種かどうかと、中小企業かどうかは別に判断されます。
環境省の資源循環系補助金(令和8年度の公募状況)
環境省の資源循環系の補助金は、執行団体(補助金の事務を行う団体)を通じて公募されます。令和8年度は次のとおり公募されました。
| 制度 | 主な対象 | 令和8年度の公募 | 執行団体 |
|---|---|---|---|
| プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業 | 省CO2型プラスチック高度リサイクル設備、再生可能資源由来素材の製造設備、太陽光パネル・リチウム蓄電池のリサイクル設備、金属の破砕・選別設備 | 2次公募:2026年6月23日〜7月24日 | 公益財団法人 廃棄物・3R研究財団 |
| 再生材供給サプライチェーン構築支援事業(関連インフラ設備の導入支援) | 廃棄物等の解体・破砕・選別などの処理設備、再生資源の品質分析設備、荷役・積替・保管施設 | 2026年9月18日〜10月16日 | パシフィックコンサルタンツ株式会社 |
| 廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業 | 廃棄物発電の電力・余熱を活用する設備(EV収集車を含む)、事業化の調査 | 3次公募:2026年6月8日〜7月3日 | 一般社団法人 廃棄物処理施設技術管理協会 |
| プラスチック等資源循環システム構築実証事業 | バイオプラスチック・再生材への代替、複合素材プラスチックのリサイクル、廃棄物由来SAF、廃油のリサイクルの実証 | 3次公募:2026年9月15日締切 | 一般社団法人 日本有機資源協会 |
いずれも令和8年度の公募は終了しています。設備の補助は「省CO2」「再生材の質・量の向上」が審査の軸になるため、導入設備によるCO2削減量と、再生材の品質・供給量の改善を数値で示せるよう準備しておくことが重要です。
経済産業省・中小企業向けの補助金
自律型資源循環システム強靱化促進事業(経済産業省)
再生材を原料とした製品の製造、長寿命化や再資源化しやすい環境配慮型のものづくり、リユース・リファービッシュなどのCEコマースの設備投資が対象です。補助率は中小企業等1/2以内・大企業等1/3以内、補助額の下限は1億円と、大型の投資を想定した制度です。令和8年度は2026年7月28日〜9月14日に公募されました。経済産業省の「サーキュラーパートナーズ」の取り組みとも関連づけられています。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(中小企業庁)
2026年に、ものづくり補助金と中小企業新事業進出補助金が統合された制度です。革新的な製品・サービスの開発や、新しい市場・高付加価値事業への進出に必要な設備投資を支援します。2026年6月29日に第1回の公募要領が公表されています。収集運搬業者がリサイクル製品の製造に乗り出すなど、新分野への進出を伴う投資と相性のよい制度です。
省エネ補助金(経済産業省)
破砕機・圧縮機などの高効率な設備への更新、照明・空調の省エネ化などに使える制度です。名称・区分は年度により変わるため、資源エネルギー庁の最新の公募情報を確認してください。
再資源化事業等高度化法の認定と税制・融資
2025年11月に全面施行された再資源化事業等高度化法では、環境大臣の認定を受けた事業の設備について、法人税の特別償却や固定資産税の特例などの税制措置と、日本政策金融公庫の「環境・エネルギー対策資金」による融資が用意されています。認定と補助金は別の制度のため、補助金は個別に申請が必要です。制度の内容は再資源化事業等高度化法の解説をご覧ください。
都道府県・市区町村の補助金を見つける方法
地方自治体の廃棄物・リサイクル関連の補助金は、国の制度と比べて情報が一元化されていません。主な探し方は次の3つです。
- 都道府県の廃棄物・リサイクル担当課に問い合わせる:資源循環推進課などの担当課は、ウェブに出ていない公募予定や制度の見直し状況を把握していることがあります
- 自治体のサーキュラーエコノミー推進センターなどの支援機関に相談する:東京都や埼玉県など、資源循環の新規事業の相談窓口を設けている自治体があります
- 補助金の検索サイトを使う:ミラサポplusやJ-Net21などで自治体の制度を横断検索できます。ヒットした制度は、必ず所管自治体の公式情報で確認してください
自治体の補助金は予算がなくなりしだい締め切られるものも多いため、年度の初めに担当課に確認する習慣をつけることをおすすめします。国の補助金と自治体の補助金を同じ経費に重ねて受けることはできない場合が多いため、対象経費の切り分けも事前に確認が必要です。
令和9年度(2027年度)の公募に向けた準備
環境省・経済産業省は、2026年8月に令和9年度予算の概算要求と重点施策を公表しました。令和8年度の資源循環系の補助金は、6月〜10月に公募が集中し、公募期間は1か月程度と短いものが多くありました。公募が始まってから計画を作り始めると間に合わないため、次の順に準備を進めておくと安心です。
- 年内:投資の目的と対象設備を決め、該当しそうな制度を2〜3個に絞る。CO2削減量や再生材の質・量の改善効果の試算を始める
- 1〜3月:設備メーカーから複数の見積りを取り、事業計画・実施体制・資金計画をまとめる。必要な許可・認定の取得時期を確認する
- 4月以降:予算成立後に公表される公募要領を確認し、要件に合わせて計画を仕上げて申請する
自社製品のリサイクルループや資源循環の新規事業を、補助金を活用して立ち上げたい場合は、資源循環・リサイクルループの事業化支援もご覧ください。事業化の論点を整理できるリサイクルループ構築 検討シート(無料)も公開しています。
補助金申請で採択率を上げる5つの実務ポイント
制度を知っていても採択されなければ意味がありません。廃棄物関連補助金の審査では、事業計画書の「政策との整合性」と「実現可能性の裏付け」が評価の2大軸です。採択側の視点から整理した実務ポイントを5つ紹介します。
ポイント1:政策ワードを事業計画に正確に組み込む
環境省・経産省の補助金審査では、「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」「GX」「循環経済(サーキュラーエコノミー)」「カーボンニュートラル」といった政策ワードとの整合性が明示的に評価されます。事業計画書の冒頭に「本事業は◯◯政策(第五次循環型社会形成推進基本計画等)の◯◯目標に貢献する」と明記し、政策上の根拠を示すことが重要です。参照すべき目標値は第五次循環型社会形成推進基本計画の数値目標と重点分野で確認できます。
ポイント2:許可・認定の取得タイミングと申請時期を合わせる
補助金申請時点で必要な許可・認定を保有していることが前提条件になっているケースが多くあります。新規に中間処理施設を設置して許可を取得する場合、許可申請から取得まで数カ月かかるのが一般的です。公募のスケジュール(令和8年度の資源循環系は6〜10月に公募)から逆算して、前年度中に許可申請を済ませておく段取りが理想的です。
ポイント3:典型的な不備パターンを事前に排除する
審査で落ちる典型パターンは次の3つです。
- 見積書が1社のみで比較検討の形跡がない(複数社見積もりが求められる補助金では必須)
- 事業計画書の数値(投資額・削減見込み・売上見通し)に根拠が示されていない
- 補助対象経費の内訳が不明確で、対象外経費が混入している
ポイント4:採択後の実績報告義務・返還リスクを管理する
補助金は採択がゴールではありません。採択後には事業実施期間中の中間報告、完了後の実績報告書の提出が義務付けられています。事業計画と大幅に異なる実績(設備未導入・経費大幅変更等)が生じた場合は、補助金の一部返還を求められるリスクがあります。変更が生じた際は速やかに所管窓口に連絡し、事前承認を得ることが返還リスク回避の基本です。
ポイント5:補助事業終了後の継続コストを事業計画に盛り込む
「補助金終了後に事業継続できるか」という観点も審査では重視されます。設備導入後の維持費・人件費・ランニングコストを含めた3〜5年間の収支シミュレーションを事業計画書に添付すると、事業の持続性を示す根拠として有効です。補助率が高い制度ほどこの継続性の審査が厳しくなる傾向があるため、数値の裏付けを丁寧に準備しましょう。
補助金・融資・税制優遇の組み合わせ方
補助金だけで設備投資の全額をまかなうことはできません。補助金・融資・税制優遇を組み合わせて、自己負担を抑えるのが基本です。
- 補助金:採択されて初めて受け取れ、支払いは原則として事業完了後の精算払いです。採択を前提にしすぎない資金計画にします
- 融資:日本政策金融公庫の「環境・エネルギー対策資金」など、環境・省エネ投資向けの制度融資があります。補助金の入金までのつなぎ資金も含めて、金融機関と早めに相談します
- 税制:中小企業経営強化税制(経営力向上計画の認定が前提)や、再資源化事業等高度化法の認定事業に係る税制措置などがあります。補助金で取得した設備は圧縮記帳の扱いになるため、適用の可否は顧問税理士と確認します
同じ設備・同じ経費に複数の補助金を重ねて受けることは原則できません。別の設備・工事を対象に分けて複数の制度を使う場合は、対象経費の切り分けを明確にしておくことが重要です。
まとめ:廃棄物関連事業者が今すぐ取れる行動ステップ
廃棄物関連事業の補助金は、「目的に合う制度の特定」→「許可・認定の整備」→「公募スケジュールからの逆算」→「事業計画の精度向上」の順に取り組むのが近道です。資源循環系の国の補助金は、CO2削減と再生材の質・量の向上を数値で示せる事業ほど評価されやすい傾向があります。
- 本記事の目的別早見表で、自社の投資に合う制度を2〜3個に絞る
- 導入設備によるCO2削減量と、再生材の質・量の改善効果を試算する
- 設備の見積りを複数社から取り、事業計画・資金計画の概算を固める
- 保有している許可の種類・処理方法と、導入する設備の用途が合っているか確認する
- 都道府県の担当課や自治体の支援機関に、自治体独自の制度の有無を確認する
- 令和9年度の公募要領が公表されたら、要件に合わせて計画を仕上げる
来年度の公募に備えた準備は、今年度中から始めるのが賢明です。
よくある質問(FAQ)
廃棄物処理業者が使える国の補助金にはどんなものがありますか?
環境省の資源循環系の設備補助(プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業、再生材供給サプライチェーン構築支援事業など)、経済産業省の自律型資源循環システム強靱化促進事業、中小企業向けの新事業進出・ものづくり商業サービス補助金や省エネ補助金などがあります。対象・補助率・公募時期は年度ごとに変わるため、最新の公募要領を確認してください。
産業廃棄物と一般廃棄物では使える補助金は違いますか?
一般廃棄物処理施設の整備に使われる循環型社会形成推進交付金は市町村が申請主体で、民間の処理業者が直接申請する制度ではありません。民間の処理業者は、環境省の資源循環系の設備補助や、中小企業向けの補助金などを、事業内容と要件に応じて検討します。
補助金・融資・税制優遇は同時に使えますか?
基本的に組み合わせて使えます。ただし、同じ設備・同じ経費に複数の補助金を重ねて受けることは原則できません。融資は補助金とは別の制度のため併用できますが、補助金の入金は事業完了後になるため、つなぎ資金を含めて計画します。税制優遇は、補助金で取得した設備の圧縮記帳との関係を顧問税理士に確認してください。
来年度(令和9年度)の補助金はいつ公募されますか?
予算の成立後、例年春以降に順次公募されます。令和8年度の資源循環系の補助金は6月〜10月に公募が行われました。公募期間は1か月程度と短いことが多いため、年度内に計画と見積りを準備しておくことをおすすめします。