低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年3月31日|過ぎたらどうなる?今からの進め方
低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年(令和9年)3月31日です。2026年6月にPCB特措法が改正されましたが、すでに廃棄物になっている低濃度PCB廃棄物の期限は延びていません。この記事では、対象になる機器、期限を過ぎた場合の扱い、残り数か月で進める手順をまとめます。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
低濃度PCB廃棄物とは
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて変圧器やコンデンサーの絶縁油に使われた物質です。1972年(昭和47年)以降は製造されていませんが、その後に作られた機器でも、製造工程などで意図せずPCBが混ざった絶縁油が見つかっています。これが低濃度PCBです。
| 区分 | 不燃性のもの(絶縁油など) | 可燃性のもの(ウエス・紙など) |
|---|---|---|
| 低濃度PCB廃棄物 | 0.5mg/kg超 5,000mg/kg以下 | 0.5mg/kg超 100,000mg/kg以下 |
| 高濃度PCB廃棄物 | 5,000mg/kg超 | 100,000mg/kg超 |
出典:堺市「PCB廃棄物について」
対象になりやすい機器
- 自家用電気工作物:受変電設備の変圧器(トランス)、コンデンサー など
- それ以外:X線装置、溶接機、昇降機の制御盤、低圧コンデンサー など
- PCB油が付いたウエス・汚泥、感圧複写紙、塗膜 など
製造年の目安は、絶縁油を入れ替えられる変圧器が1993年(平成5年)以前、絶縁油を封じ切ったコンデンサーが1990年(平成2年)以前です。ただし、メーカーによってはこれより後の製品でも汚染が報告されています(千葉県の案内より)。
期限を過ぎたらどうなるか
PCB廃棄物を保管している事業者は、処分期間内に自ら処分するか、処分を委託する必要があります。期限までに処分・委託をしていない場合、都道府県等から期限を定めて処分するよう改善命令を受けることがあります(PCB特措法第15条で第12条を準用)。期限を過ぎてから慌てて処理先を探すことにならないよう、早めの対応が必要です。
2026年の改正後も、改正前から保管している低濃度PCB廃棄物で、期限までに処分・委託されていないものには、従来の期限と改善命令の規定が引き続き適用されます。「改正で5年の猶予ができた」わけではない点に注意してください。5年以内の処分期間が設けられたのは、2027年4月以降に使用を終える製品や、新たに見つかる廃棄物です。改正の内容はPCB特措法の改正(2026年)で解説しています。
期限までの進め方(残り数か月の場合)
| 手順 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 洗い出し | 拠点ごとに絶縁油を使う機器・保管中の廃棄物を一覧にする | 銘板で製造年・メーカー・型式を控える |
| 2. 判別 | メーカーの公表資料で確認、必要に応じて絶縁油を分析 | 通電中の機器の採油は電気主任技術者に相談 |
| 3. 処理先の選定 | 無害化処理認定施設などの処理先と、特別管理産業廃棄物の収集運搬業者を選び、見積を取る | 機器の大きさ・重量・油量で費用が変わる |
| 4. 委託契約 | 収集運搬業者・処分業者とそれぞれ書面で契約する | 期限内の「処分の委託」が必要 |
| 5. 搬出・届出 | マニフェストを交付して搬出し、処分完了後に届け出る | 毎年度の保管状況の届出も忘れずに |
使用中の機器はどうするか
使用中の機器は、まだ廃棄物ではありません。2027年4月以降は、使用中の低濃度PCB使用製品について届出と管理が必要になり、使用を終えた後は政令が定める期間(5年を超えない範囲)内に処分します。設備の更新計画とあわせて、いつ使用を終えるかを決めておくと、届出や処分の準備がしやすくなります。
処理費用の考え方
低濃度PCB廃棄物の費用は、主に「分析費」「収集運搬費」「処分費」で決まります。処分費は機器の重量や油量、運搬費は距離・台数・車両の種類で変わります。拠点ごとに個別に依頼するより、複数の拠点・機器をまとめて見積を取ると、運搬の効率が上がり、比較もしやすくなります。
よくある質問
Q. 期限直前に処理施設が見つからない場合は?
期限内に「処分の委託」をすることが求められます。まず処理業者と委託契約を結ぶことを優先し、搬出の日程は処理業者と調整します。早めに相談してください。
Q. PCBが入っているか分からない機器はどうすればよいですか?
メーカーの資料で判断できない場合は、絶縁油を分析して濃度を確認します。分析で0.5mg/kg以下と分かれば、PCB廃棄物ではありません。
Q. 運搬は通常の産廃業者に頼めますか?
PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物です。特別管理産業廃棄物の収集運搬業の許可を持ち、PCB廃棄物を扱える業者に委託します。
Canopusは、多拠点企業や建物所有者向けに、PCB含有機器の洗い出し・分析の手配、処理業者の選定と見積比較、届出や記録の整理までを支援しています。処理の委託契約は、お客様と処理業者が直接結びます。東京本社から関東・全国に対応し、関西はグループ会社の新関西テクニカも運搬に対応しています。