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PCB分析・含有調査の方法と費用|絶縁油の採取から判定まで

PCB分析・含有調査の方法と費用|絶縁油の採取から判定まで

低濃度PCB廃棄物の処分期限は2027年3月31日です。古い変圧器やコンデンサーを持つ事業者は、まずその機器にPCBが含まれているかを確かめる必要があります。製造年で汚染の可能性を絞り込み、可能性が残る機器は絶縁油を採って分析します。

この記事では、PCBの含有を確かめる手順、分析方法の種類、分析機関の選び方、費用の負担を減らす制度を整理します(2026年10月時点の情報です)。

監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)

東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。

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PCB含有調査の全体の流れ

手順 やること 担当の目安
1. 機器の洗い出し 受変電設備、コンデンサー、X線装置、溶接機などを拠点ごとに一覧にする 設備管理者・本社の総務/環境担当
2. 銘板の確認 メーカー・型式・製造年・製造番号を控える。通電中の設備に近づくときは電気主任技術者に依頼する 電気主任技術者・電気保安法人
3. 製造年とメーカー情報での判別 製造年の目安とメーカーの公表情報で、汚染の可能性がある機器を絞り込む 担当者(メーカーへの問い合わせ)
4. 採油・分析 可能性が残る機器の絶縁油を採り、PCB濃度を測る 分析機関・電気工事業者
5. 判定と次の手続き 0.5mg/kgを超えれば、廃棄物ならPCB廃棄物として届出・保管・処分へ、使用中なら低濃度PCB含有電気工作物として電気事業法の届出へ進む 担当者・処理業者

製造年での絞り込み

低濃度PCBは、PCBを使っていないはずの絶縁油に、製造や保守の過程で微量のPCBが混入したものです。国内メーカーの機器では、製造年からおおよその可能性を判断できます。

  • 絶縁油を入れ替えられる変圧器など:1993年(平成5年)以前に製造されたものは、汚染の可能性がある。1994年以降の製造でも、保守で絶縁油を交換・継ぎ足しした(または履歴が分からない)ものは、汚染の可能性がある
  • 絶縁油を封じ切ったコンデンサー:1990年(平成2年)以前に製造されたものは、汚染の可能性がある

ただし、メーカーによっては上記より後に出荷された機器でも汚染が報告されている例や、見解が変更された例があります。最終的には、メーカーの公表情報や、所在地の都道府県の案内で確認してください。

なお、1953年(昭和28年)から1972年(昭和47年)に国内で製造された変圧器・コンデンサーには、絶縁油そのものにPCBが使われたもの(高濃度PCB)があります。高濃度PCBが見つかった場合の対応は高濃度PCBが見つかったらをご覧ください。

出典:千葉県「微量PCB汚染廃電気機器等の把握について」、福岡県「PCB含有の判別方法」

採油するときの注意

使用中の機器は電気主任技術者と相談する

通電中の変圧器・コンデンサーに近づくと感電のおそれがあります。銘板の確認や採油は、電気主任技術者や電気保安法人に相談し、停電作業の日程に合わせて行うのが一般的です。

封じ切りのコンデンサーは採油すると使えなくなる

コンデンサーの多くは絶縁油を封じ切った構造です。採油のために穴を開けると、その機器は使えなくなります。製造年で判断できない場合は、更新の時期に合わせて取り外し、廃棄の前に分析する方法が現実的です。

採油した機器・油の扱い

分析の結果を待つ間も、採油した機器や油は混ぜずに保管し、どの機器から採ったものかが分かるように記録します。

分析方法の種類

PCBの濃度の測り方は、環境省の告示や「簡易測定法マニュアル」で定められています。

方法 概要 主な用途
公定法(告示に定める方法) ガスクロマトグラフ質量分析計などによる精密な分析 組成がPCB製品と異なる試料、妨害成分が多い試料、精密な判定が必要な場合
簡易定量法 環境省のマニュアルに定められた、GC/ECD法、GC/HRMS法、フローイムノセンサー法など複数の方法 絶縁油など、PCB製品(KC-300など)に由来する試料のスクリーニング

絶縁油以外に、塗膜くず・感圧複写紙・汚泥などの汚染物や、機器の表面の拭き取り試験にも、それぞれ決められた方法があります。どの方法で測るかは、分析機関と試料の種類を確認したうえで決めます。

出典:環境省「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法」(石川県掲載資料)

分析機関の選び方

  • 対応できる試料と方法:絶縁油だけか、汚染物・拭き取り試験にも対応するか
  • 精度管理:簡易定量法の精度管理の規定に沿っているか、計量証明事業の登録があるか
  • 報告までの日数:処分の期限から逆算して間に合うか。期限が近づくと依頼が集中しやすい
  • 採油の手配:採油まで請け負うか、電気工事業者・保安法人の手配が別に必要か
  • 見積の単位:1検体あたりの費用、採油・送料・報告書の費用が含まれているか

分析機関は、一般社団法人日本環境測定分析協会の会員名簿や、日本電機工業会の案内から探せます。拠点が多い場合は、拠点ごとに別々に頼むより、まとめて依頼したほうが日程と費用をそろえやすくなります。

分析費用は、検体数、分析方法(公定法か簡易定量法か)、採油作業や送料・報告書を含むかによって変わるため、分析機関ごとの個別見積もりが一般的です。複数の機関から、同じ条件で見積もりを取って比べてください。

分析費用を減らせる制度

  • 低濃度PCB廃棄物処理の助成金(産業廃棄物処理事業振興財団):中小企業者等が対象で、絶縁油の分析費用も対象経費の2分の1が助成されます。交付決定の前に契約・分析した費用は対象外です。対象経費の範囲や上限額は、財団の交付要綱で確認してください。
  • PCB汚染変圧器の高効率化補助金(環境省):変圧器の分析調査も補助の対象です。申請の締切は2026年12月18日(金)15時です。分析費用は、助成金と重複して申請できません。

制度の詳しい条件は低濃度PCBの助成金・補助金で解説しています。

分析した後にやること

  • PCBが含まれていなかった:分析結果の報告書を保管し、機器の台帳に記録する。処分のときに処理業者から求められることがある
  • 低濃度PCBだった(使用を終えた・保管中):都道府県等に保管状況を届け出て、2027年3月31日までに処分または処分の委託を終える(低濃度PCB廃棄物の処分期限)
  • 低濃度PCBだった(使用中):2027年4月施行の改正PCB特措法で、使用中の製品にも届出と管理が求められる(PCB特措法の改正(2026年))

よくある質問

Q. 銘板が読めない、製造年が分からない機器はどうしますか?

製造年で判断できない場合は、採油して分析するのが確実です。メーカー・型式が分かればメーカーに問い合わせる方法もあります。

Q. 分析にはどのくらいの期間がかかりますか?

分析機関や時期によって異なります。期限が近づくと依頼が集中しやすいため、見積の段階で報告までの日数を確認してください。

Q. 低濃度PCBのコンデンサーを交換するとき、何に注意すればよいですか?

取り外したコンデンサーは廃棄物になるため、保管の届出と期限内の処分が必要です。交換工事の前に処理先と運搬の段取りを決めておくと、保管期間を短くできます。

※制度・基準は変わることがあります。最新の情報は環境省と所在地の自治体の案内を確認してください。

Canopusは、多拠点の企業や建物所有者向けに、PCB含有の可能性がある機器の洗い出し、分析の手配、処理業者の選定と見積比較、届出や記録の整理までを支援しています。処理の委託契約は、お客様と処理業者が直接結びます。東京本社から関東・全国に対応しています。

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