蛍光灯の製造・輸出入の終了と事業所の対応|LED切り替えと廃棄のルール
水銀に関する水俣条約で一般照明用の蛍光ランプが製造・輸出入の廃止対象に加わったことを受け、国内でも蛍光ランプの製造と輸出入が段階的に禁止されます。直管形・環形の蛍光ランプも、2028年1月1日から製造・輸出入が禁止されます(ハロりん酸塩蛍光体を使ったものは2027年1月1日から)。
工場・オフィス・店舗を多く持つ企業にとっては、交換用ランプの確保、LED照明への切り替え、外した蛍光灯の適正な処分を計画的に進める必要があります。この記事では、禁止の時期と対象、事業所がやること、廃棄の決まりを整理します(2026年10月時点の情報です)。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
蛍光ランプの製造・輸出入の禁止時期
| 種類 | 製造・輸出入が禁止される時期 |
|---|---|
| 電球形 | 2026年1月1日(30W超は2027年1月1日) |
| コンパクト形 | 2027年1月1日 |
| 直管形 | 2028年1月1日(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体のものは2027年1月1日) |
| 環形 | 2028年1月1日(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体のものは2027年1月1日) |
国内では、水銀汚染防止法の施行令改正(2024年12月)で一般照明用蛍光ランプが「特定水銀使用製品」に指定され、製造が禁止されます。輸出入は外為法で規制されます。
今使っている蛍光灯はどうなるか
禁止されるのは製造と輸出入です。今使っている蛍光灯の使用や、在庫の販売・購入は禁止されません。ただし、製造が止まると交換用のランプは手に入りにくくなり、価格が上がることも考えられます。環境省は、LED照明への計画的な切り替えを呼びかけています。
事業所がやること
1. 拠点ごとの照明の台数を把握する
拠点・フロアごとに、蛍光灯の種類(直管・環形など)と本数、器具の設置年を一覧にします。テナントとして入居している拠点は、照明器具の所有者(オーナーか入居者か)も確認します。
2. 切り替えの優先順位を決める
- 点灯時間が長い場所(工場、倉庫、店舗の売場)は、電気代の削減効果も大きい
- 器具が古い場所は、ランプだけでなく器具ごと交換したほうが安全な場合がある(安定器の劣化)
- 改修・移転の予定がある拠点は、その工事に合わせる
3. 古い安定器のPCBを確認する
1977年(昭和52年)3月以前に建築・改修された建物の照明器具には、PCBを使った安定器が残っていることがあります。高濃度PCBを使った安定器の処分期限は、すでに過ぎています。器具ごと交換する前に、安定器の銘板を確認します。PCBが見つかった場合の対応は高濃度PCBが見つかったらをご覧ください。
4. 外した蛍光灯の処分方法を決める
一斉に交換すると、大量の蛍光灯がまとめて廃棄物になります。処理先と運搬の段取りを先に決めておきます。
事業所の蛍光灯を廃棄するときの決まり
事業活動で使った蛍光灯は産業廃棄物で、水銀を含むため「水銀使用製品産業廃棄物」として扱います(2017年10月から)。
| 場面 | 決まり |
|---|---|
| 保管 | ほかの物と混ざらないよう仕切りを設ける。保管場所の掲示板に「水銀使用製品産業廃棄物」を含むことを書く(あわせて、割れないように保管することが望ましい) |
| 収集運搬 | 破砕せず、ほかの物と区分して運ぶ |
| 委託契約書 | 廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」を含むことを書く |
| マニフェスト | 「水銀使用製品産業廃棄物」を含むことと、その数量を書く |
| 委託先 | 水銀使用製品産業廃棄物を扱える業者に委託する。処分では水銀の飛散防止措置が必要で、安定型最終処分場には埋め立てられない |
出典:堺市「水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等について(排出事業者関係)」
蛍光ランプは、法令上の水銀回収義務の対象からは除かれていますが、水銀を回収・リサイクルできる処理施設を選ぶと、より安心です。オフィスの蛍光灯を家庭ごみや一般廃棄物の回収に出すことはできません。割れた蛍光灯も、水銀使用製品産業廃棄物として同じように扱います。
多拠点の企業が注意したいこと
- 拠点ごとに処分方法がばらばら:電気工事業者に引き取りを任せている拠点もあれば、自社で保管している拠点もある。誰が排出事業者として委託しているのかを確認する
- 契約書の記載漏れ:古い委託契約書に「水銀使用製品産業廃棄物」の記載がないままになっていないか確認する
- 交換時期の集中:2027年に向けて交換工事と処分の依頼が集中しやすい。計画を前倒しにすると、日程と費用を調整しやすい
よくある質問
Q. 2028年以降は蛍光灯を使ってはいけないのですか?
使用は禁止されません。ただし交換用のランプが手に入りにくくなるため、計画的にLED照明へ切り替えることが勧められています。
Q. 電気工事業者が交換と一緒に古い蛍光灯を持ち帰ってくれる場合は?
器具の交換などの建設工事として行う場合は、元請業者が排出事業者になります(廃棄物処理法第21条の3)。工事に当たらない作業で業者が持ち帰る場合は、お客様が排出事業者となり、業者には産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。どちらに当たるかは、所在地の自治体に確認してください。
Q. 蛍光灯の処分にマニフェストは必要ですか?
産業廃棄物として処理を委託する場合は、マニフェストの交付が必要です。水銀使用製品産業廃棄物を含むことと数量を記載します。
※制度の内容は変わることがあります。最新の情報は環境省・経済産業省と所在地の自治体の案内を確認してください。
Canopusは、多拠点の企業向けに、拠点ごとの蛍光灯・安定器の洗い出し、PCBの確認、処理業者の選定と見積比較、委託契約書・マニフェストの記載の確認までを支援しています。処理の委託契約は、お客様と処理業者が直接結びます。東京本社から関東・全国の拠点に対応しています。