低濃度PCBの処理業者の選び方と費用|無害化処理認定施設とは
低濃度PCB廃棄物は、2027年3月31日までに処分または処分の委託を終える必要があります。処理は、環境大臣の「無害化処理認定」を受けた施設か、都道府県知事等の許可を受けた施設に委託します。
なお、2026年6月公布の改正PCB特措法(2027年4月施行)では、使用を終えた日や判明した日から政令で定める期間(5年以内。環境省の資料では5年を想定)内に処分するしくみに変わります。これから保管を始める廃棄物の扱いは、今後定められる政令を確認してください。
この記事では、処理施設の種類と数、業者を選ぶときに確認すること、見積・契約の進め方を整理します(2026年10月時点の情報です)。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
低濃度PCB廃棄物を処理できる施設
| 区分 | 事業者数(2026年2月末) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 無害化処理認定(環境大臣)・焼却方式 | 24事業者(うち筐体も処理できるのは14事業者) | 絶縁油・汚染物・機器を焼却して分解する。施設によって受け入れられる物と濃度が異なる |
| 無害化処理認定(環境大臣)・洗浄方式 | 7事業者(移動式5、固定式2。うち分解・洗浄方式2) | 機器の容器(筐体)などを洗浄して処理する。移動式は現地で処理する |
| 都道府県知事・市長の許可 | 2事業者(いずれも焼却方式) | 特別管理産業廃棄物の処分業の許可で処理する |
出典:環境省「低濃度PCB廃棄物の処理体制の整備及び処理の状況」(令和8年3月26日)
処理施設は全国に点在しており、近くの施設が自社の廃棄物を受け入れられるとは限りません。どの施設に出すかは、廃棄物の種類(油・機器・汚染物)、濃度、大きさで決まります。
業者を選ぶときに確認すること
1. 自社の廃棄物を受け入れられるか
- 種類:絶縁油だけか、変圧器・コンデンサーの筐体ごと処理できるか。汚染物(ウエス、塗膜くず、汚泥など)は受け入れられるか
- 濃度:低濃度PCBは0.5mg/kg超〜5,000mg/kg以下。可燃性の汚染物は10万mg/kg以下まで低濃度として扱われるが、5,000mg/kgを超える汚染物を処理できる施設は限られる
- 大きさ・重さ:大型の変圧器は、搬入できる施設や解体の要否が変わる
2. 収集運搬を誰が行うか
PCB廃棄物の運搬には、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物)の収集運搬業の許可が必要です。積む場所と降ろす場所の都道府県の許可を持っているかを確認します。処分と運搬は、それぞれの業者と排出事業者が直接委託契約を結びます。
3. 費用の内訳
処理費は、重量・油量・機器の種類で決まるのが一般的です。金額は施設や条件によって大きく異なるため、複数の施設から個別に見積もりを取ります。比べるときは、次の費用が含まれているかをそろえます。
- 処分費(油・筐体・汚染物それぞれの単価)
- 収集運搬費(距離・台数・車両の種類)
- 取り外し・抜油・容器詰めなどの作業費
- 分析費(受け入れ前に濃度の証明を求められることがある)
4. 受け入れまでの日程
期限が近づくと、処理施設・運搬業者とも予約が集中しやすくなります。見積の段階で、受け入れが可能な時期を確認しておきます。
見積から処分までの進め方
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 対象の確定 | 分析結果、機器の銘板・重量・油量、保管場所の写真をそろえる(PCB分析・含有調査) |
| 2. 処理施設の候補を選ぶ | 種類・濃度・大きさで受け入れられる施設を絞り、見積を依頼する |
| 3. 運搬の手配 | 許可を持つ収集運搬業者に見積を依頼し、施設の受け入れ日と合わせる |
| 4. 助成金の申請(対象者のみ) | 中小企業者等は、契約の前に産業廃棄物処理事業振興財団の助成金を申請する(低濃度PCBの助成金・補助金) |
| 5. 委託契約 | 処分業者・収集運搬業者と、それぞれ書面で委託契約を結ぶ |
| 6. 搬出・処分 | マニフェストを交付して搬出し、処分終了(D票)と最終処分終了(E票)の報告を確認する |
| 7. 届出 | 都道府県等に、保管・処分の状況を届け出る |
多拠点の企業が注意したいこと
- 拠点ごとに業者を探すと、条件と日程がそろわない:全拠点の対象を一覧にしてから、まとめて見積を取ると比較しやすくなります。
- 都道府県ごとに届出先が違う:保管場所の都道府県(政令市)ごとに届出が必要です。
- 使用中の機器は2027年4月以降も管理が続く:改正PCB特措法で、使用中の低濃度PCB使用製品にも届出と管理が求められます(PCB特措法の改正(2026年))。
よくある質問
Q. 処理施設の一覧はどこで見られますか?
環境省のPCB関連のページで、無害化処理認定施設と都道府県等の許可施設の一覧が公表されています。施設ごとに受け入れられる物が異なるため、一覧で候補を絞ったうえで、各施設に条件を確認してください。
Q. 期限までに処分が終わらない場合はどうなりますか?
期限までに処分または処分の委託を終えていないと法律違反となり、自治体の改善命令などの対象となる場合があります。期限の考え方は低濃度PCB廃棄物の処分期限をご覧ください。
Q. 高濃度PCBも同じ施設で処理できますか?
現時点では、低濃度PCBの処理施設で高濃度PCBは処理できません。JESCOの処理事業は2026年3月末で終了し、2026年6月公布の改正PCB特措法のもとで、無害化処理認定制度を使った民間処理へ移行する方針が示されています(高濃度PCBが見つかったら)。
※施設の数・受け入れ条件は変わることがあります。最新の情報は環境省と各施設に確認してください。
Canopusは、PCB含有機器の洗い出しから、処理施設・運搬業者の選定と見積比較、助成金の申請準備、届出の整理までを支援しています。処理の委託契約は、お客様と処理業者が直接結びます。東京本社から関東・全国の拠点に対応しています。