低濃度PCBの助成金・補助金|処理費用の1/2助成と変圧器の高効率化補助(2026年度)
低濃度PCB廃棄物の処分期限(2027年3月31日)が近づくなか、処分費用の負担を軽くできる国の制度が2つあります。中小企業等を対象に分析・収集運搬・処分の費用の2分の1を助成する制度と、PCBに汚染された変圧器を高効率変圧器に交換する費用を補助する制度です。
どちらも「契約や工事の前に申請する」ことが条件で、変圧器の補助は2026年12月18日(金)15時が申請の締切です。この記事では、2つの制度の対象・条件・注意点と、申請から処分までの進め方を整理します。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
2つの制度の比較
| 項目 | 低濃度PCB廃棄物処理支援事業(助成金) | PCBに汚染された変圧器の高効率化によるCO2削減推進事業(補助金) |
|---|---|---|
| 実施 | 公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団 | 環境省の事業。執行は同財団(変圧器補助金事務局) |
| 対象者 | 中小企業者等(常時使用する従業員100人以下の法人など。大企業・みなし大企業は対象外) | 公募要領で確認(財団の事務局へ) |
| 対象 | 低濃度PCBを含むおそれのある電気機器(高濃度PCB・安定器を除く)の絶縁油の分析、低濃度PCB廃棄物の収集運搬・処分 | 低濃度PCB汚染の疑いがある変圧器の分析調査、汚染された変圧器の高効率変圧器への交換(リースも可) |
| 助成・補助の内容 | 費用の2分の1(上限額あり)。消費税は対象外 | 費用の一部(補助率・上限は公募要領で確認)。既設変圧器の処分費は対象外 |
| 申請期限 | 2027年3月31日までに交付申請 | 2026年12月18日(金)15時必着。予算に達した時点で終了 |
| 注意点 | 交付決定前に契約・分析・運搬・処分をすると対象外 | 分析費用は、助成金と重複して申請できない |
出典:産業廃棄物処理事業振興財団「低濃度PCB廃棄物処理支援事業 Q&A」、環境省「PCBに汚染された変圧器の高効率化によるCO2削減推進事業」公募、滋賀県「PCB廃棄物の処理等に係る各種支援制度」(2026年10月時点)
低濃度PCB廃棄物の処理助成金
対象になる事業者
常時使用する従業員が100人以下の法人が対象です。医療法人・学校法人・社会福祉法人なども、この人数要件を満たせば申請できます。大企業や、大企業が実質的に経営に関わる「みなし大企業」は対象外です。マンション管理組合など法人格のない団体は、代表者個人の名義で申請します。
対象になる費用
- 低濃度PCBを含むおそれのある電気機器の絶縁油の分析費用(分析の結果、低濃度PCBに当たらなかった場合も対象)
- 低濃度PCB廃棄物の収集運搬費用
- 低濃度PCB廃棄物の処分費用
使用中の変圧器なども対象になります。一方、高濃度PCB廃棄物と安定器は対象外です(取り外したコンデンサーなど、条件を満たせば対象になるものもあります)。
最も注意したい点:契約の前に申請する
助成金は交付決定を受けてから業者と契約するのが条件です。交付決定より前に結んだ契約や、交付決定前に行った分析・運搬・処分は対象になりません。「先に業者に頼んでしまった」というケースでは助成を受けられないので、見積を取った段階で申請に進みます。なお、分析だけ先に済ませていても、収集運搬・処分の契約前であれば、その費用は申請できます。
支払いのタイミング
処分が終わってマニフェストのD票(処分終了の報告)が届いたら実績報告書を出し、その受付後に助成金が支払われます。いったんは事業者が費用を全額支払う必要がある点に注意してください。
PCB汚染変圧器の高効率化補助金
PCBに汚染された変圧器を、省エネ性能の高い変圧器に交換する費用の一部を補助する環境省の制度です。「分析調査だけ」「交換だけ」「分析調査と交換」の3つの区分で申請できます。CO2の削減とPCB廃棄物の早期処理を同時に進めることが目的のため、取り外した変圧器の処分費は補助の対象外です。
処分費は、上の助成金と組み合わせて負担を減らせる可能性があります。対象となる費目が重ならなければ併用できますが、分析費用は両方に申請できません。どちらに何を申請するかは、事前に財団の窓口に確認しておくと確実です。
申請から処分までの進め方
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 対象機器の洗い出し | 拠点ごとに、絶縁油を使う変圧器・コンデンサーなどを一覧にし、銘板で製造年・メーカーを確認する |
| 2. 制度の確認 | 従業員数などの要件、使える制度(助成金・変圧器補助)を確認する |
| 3. 見積の取得 | 分析機関、収集運搬業者、処分業者(無害化処理認定施設など)から見積を取る。まだ契約しない |
| 4. 交付申請 | 見積などを添えて財団のWebサイトから申請する |
| 5. 交付決定 → 契約 | 交付決定通知を受け取ってから、各業者と契約する |
| 6. 分析・運搬・処分 | マニフェストを交付して搬出し、D票の返送を確認する |
| 7. 実績報告・受領 | 実績報告書を出し、助成金を受け取る。PCBの処分終了の届出も忘れずに |
処分期限(2027年3月31日)までに処分または処分の委託を終える必要があるため、申請・交付決定にかかる期間も見込んで、早めに動き出すことが大切です。期限の考え方は低濃度PCB廃棄物の処分期限|過ぎたらどうなる?で解説しています。
よくある質問
Q. 自治体の補助と併用できますか?
対象経費が重なる場合は併用できません。ただし、財団の助成を受けた後の残額を、自治体が独自に支援する場合があります。所在地の自治体の制度もあわせて確認してください。
Q. 分析したらPCBが入っていなかった場合は?
助成金では、分析の結果低濃度PCBに当たらなかった場合でも、分析費用は対象になります。
Q. 複数の拠点の機器をまとめて申請できますか?
申請の単位や必要書類は、財団の手引きで確認してください。拠点が多い場合は、拠点ごとの機器の一覧と見積をそろえておくと手続きが進めやすくなります。
※制度の内容・受付状況は変わることがあります。申請前に必ず財団の最新の案内を確認してください。
Canopusは、PCB含有機器の洗い出し・分析の手配、助成金の申請準備、処理業者の選定と見積比較、届出・記録の整理までを支援しています。処理の委託契約は、お客様と処理業者が直接結びます。東京本社から関東・全国に対応し、関西はグループ会社の新関西テクニカも運搬に対応しています。