廃棄物管理システムの比較ポイント|4つのタイプ・費用の目安・選び方と導入手順
電子マニフェストの義務化の拡大や、多拠点の管理負担を背景に、廃棄物管理システムの導入を検討する企業が増えています。一方で、「どのタイプを選べばよいか分からない」「導入したのに現場で使われない」という声も少なくありません。
この記事では、排出事業者向けの廃棄物管理システムを4つのタイプに分けて比較し、費用の目安、選ぶときのポイント、導入の進め方を解説します。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
廃棄物管理システムでできること
- マニフェストの管理:電子マニフェストの登録や、処理終了報告の確認・期限管理
- 委託契約書・許可証の管理:契約の更新時期や許可の有効期限の通知、書類の一元保管
- 排出量・費用の集計:拠点別・品目別の排出量や処理費用、リサイクル率の集計
- 回収依頼・業者とのやりとり:回収の依頼や日程調整を画面上で行う
- 報告書の作成支援:多量排出事業者の報告や食品リサイクル法の定期報告、ESG開示に使うデータの出力
廃棄物管理システムの4つのタイプ
| タイプ | 主な機能 | 向いている企業 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① JWNET(電子マニフェスト)を直接使う | 電子マニフェストの登録・確認 | 拠点が少なく、まず電子化したい企業 | 契約書の管理や排出量の集計は別途必要 |
| ② 電子マニフェスト連携型の管理システム | JWNETと連携し、マニフェスト・契約書・集計をまとめて管理 | 拠点が多く、本社で全体を管理したい企業 | 費用は拠点数や利用者数で変わる。入力・確認は社内で行う |
| ③ 契約書・許可証の管理に特化したシステム | 契約書・許可証の保管と期限の通知 | 委託先が多く、契約の管理に課題がある企業 | マニフェストは別の仕組みで管理する |
| ④ システム+運用代行(BPO) | システムの運用、業者とのやりとり、書類の点検までを外部に委託 | 担当者が少ない、兼務で手が回らない企業 | 委託範囲と費用を事前にすり合わせる必要がある |
システムは「入れれば終わり」ではありません。誰が入力し、誰が確認するかまで決めて、はじめて効果が出ます。社内に担当者を置けるかどうかが、タイプを選ぶうえでの大きな分かれ目です。
費用の目安
電子マニフェストを使うには、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者がJWNET(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営)に加入している必要があります。排出事業者の料金は次のとおりです(税込、2025年6月時点のJWNETの案内による)。
| 料金区分 | 年間基本料 | 使用料(登録1件あたり) | 目安 |
|---|---|---|---|
| A料金 | 26,400円 | 11円 | 年間の登録件数が多い事業者 |
| B料金 | 1,980円 | 22円(年90件まで無料) | 年間の登録件数が少ない事業者 |
| C料金(団体加入) | 110円 | 22円(年5件まで無料) | 20者以上の団体を通じて加入する場合 |
連携型の管理システムや運用代行は、拠点数・利用者数・マニフェストの件数によって費用が変わり、個別見積もりのことが多くなります。比較するときは、初期費用と月額費用に加えて、社内の作業時間がどれだけ減るかもあわせて試算しましょう。最新の料金は各サービスの公式情報で確認してください。
比較するときの7つのポイント
- JWNETとの連携:電子マニフェストの登録・確認がシステム内で完結するか
- 多拠点・権限の管理:拠点ごとの入力と、本社による全体の確認を分けて設定できるか
- 契約書・許可証の期限通知:契約の更新や許可の期限切れを事前に知らせてくれるか
- 集計・レポート:拠点別・品目別の排出量や費用を、報告書やESG開示に使える形で出せるか
- 委託先の対応状況:今の委託先が電子マニフェストに加入しているか。未加入の業者が多いと効果が下がる
- 現場での使いやすさ:店舗や工場の担当者が、短い説明で使えるか
- サポートと運用代行:導入時の設定や、入力・点検の代行まで頼めるか
導入の進め方(4ステップ)
- ステップ1 現状の棚卸し:拠点ごとの委託先、契約書、許可証の期限、マニフェストの運用方法(紙・電子)、件数を一覧にします。
- ステップ2 委託先の加入状況の確認:委託先がJWNETに加入しているかを確認し、未加入の業者には加入を依頼します。
- ステップ3 一部の拠点で試行:数拠点で運用を試し、入力の手順や確認の流れを固めます。
- ステップ4 全拠点への展開と社内ルール化:手順書をつくり、本社が月次で状況を確認する体制にします。
多拠点の管理の考え方は多拠点企業の廃棄物管理一元化、電子マニフェストの義務の範囲は電子マニフェスト完全ガイドで詳しく解説しています。
システムだけでは解決しない課題
システムを入れても、入力や確認をする人がいなければ運用は続きません。また、契約書の記載不備の是正や、委託先との調整、委託先の現地確認などは、システムの外で行う仕事です。担当者が兼務で時間が取れない場合は、システムと運用代行を組み合わせる方法も検討しましょう。詳しくは廃棄物BPOとは?委託範囲・費用・選び方と廃棄物管理を外注するメリット5選をご覧ください。
200店舗以上を展開する小売業では、廃棄物管理システム「ゴミカン」とCanopusによる運用代行を組み合わせ、本社が全店舗の処理状況をリアルタイムで確認できるようになりました。事例の詳細を見る
【無料テンプレート】委託契約書・実地確認チェックリスト(Excel)
拠点ごとの契約書の点検や、委託先の現地確認にそのまま使えるチェックリストです。
よくある質問
Q. 電子マニフェストは義務ですか?
A. 前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン以上の事業場は、その特別管理産業廃棄物を委託する際に電子マニフェストの使用が義務です。それ以外は任意ですが、紙マニフェストで必要な毎年6月30日までの交付等状況報告が不要になるなど、事務の負担を減らせます。
Q. 委託先が電子マニフェストに加入していない場合は?
A. 電子マニフェストは、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者が加入していないと使えません。未加入の委託先には加入を依頼し、難しい場合はその委託先だけ紙マニフェストを併用します。
Q. 拠点が少ない会社でもシステムは必要ですか?
A. 拠点が少なく件数も多くない場合は、JWNETを直接使うだけでも十分なことがあります。契約書や許可証の管理は、まずExcelのチェックリストで始め、拠点や委託先が増えた段階でシステムを検討するのも一つの方法です。