廃棄物処理法の改正(2026年)|スクラップヤード許可制と企業の対応
2026年6月、廃棄物処理法などを改正する法律が成立し、6月19日に公布されました。大きな柱は、金属やプラスチックを含む使用済み物品を扱う「スクラップヤード」の許可制の導入と、災害廃棄物への備えの強化です(令和8年法律第43号)。同じ日に、PCB特措法・JESCO法を改正する別の法律(令和8年法律第44号)も公布されました。
この記事では、改正のポイントと施行時期、廃棄物を出す企業(排出事業者)が確認しておきたいことを整理します(2026年10月時点の情報です。詳細は今後の政省令で決まります)。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
改正の経緯
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律案の提出 | 2026年4月10日 |
| 成立 | 2026年6月12日(参議院本会議で可決) |
| 公布 | 2026年6月19日 |
| 施行 | 災害廃棄物関係は2026年9月16日に施行済み。スクラップヤード関係は公布から2年6か月以内(2028年12月までに施行予定) |
| 関連する別の法律 | PCB特措法・JESCO法の改正法(令和8年法律第44号。同じ日に成立・公布、原則2027年4月1日施行) |
出典:参議院「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」、環境省 スクラップヤード規制に関する資料(令和8年7月)、環境省 災害廃棄物関係の法令
ポイント1:スクラップヤードの許可制
これまで、有価物として取引される金属スクラップや雑品スクラップは、有害使用済機器の届出制度を除いて廃棄物処理法による規制が限られており、保管場所での火災、騒音、油の流出などが問題になっても、規制が難しい状況でした。環境省の調査では、全国の事業場で騒音・悪臭・汚染・火災などの問題が確認されており、少なくとも5県8市が独自の条例で規制しています。
改正法では、次のしくみが設けられます。
- 使用を終えた金属・プラスチック製の物品のうち、適正に扱わないと生活環境に支障が出るおそれがあるもの(雑品スクラップなど)の保管・再生を、都道府県知事の許可制にする
- 保管・再生の基準を守ること、帳簿の作成などを義務づける
- これまでの「有害使用済機器」の保管等の届出制度は廃止し、新しい許可制度に移す
- 小規模な事業場(政令で定める面積以下)、国・自治体、製鉄・精錬などの製造工程で再生を行う者などは許可が不要。既存の廃棄物処理業者などは許可を受けた者とみなす
- 使用済み鉛蓄電池・電子スクラップなどを輸出するときは、環境大臣の確認が必要
- 無許可営業などには、5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金、またはその両方(法人は最大3億円の罰金)
ポイント2:災害廃棄物への備え
- 市町村に、災害廃棄物の処理に関する計画の策定を義務づける
- 自治体と民間事業者などが協定を結ぶことを努力義務にする
- 災害廃棄物について、これまで認められていた再委託に加え、再々委託を認める
- 災害廃棄物を受け入れる最終処分場を指定する制度をつくる
関連:PCB特措法・JESCO法の改正(別の法律)
同じ日に公布された別の法律で、使用中の低濃度PCB使用製品に届出と管理を求めること、新たに見つかったPCB廃棄物を政令で定める期間内に処分することなどが定められました(原則2027年4月1日施行)。JESCOの高濃度PCB処理事業は2026年3月に終わり、今後は民間施設での処理に移ります。詳しくはPCB特措法の改正(2026年)で解説しています。
排出事業者が確認しておきたいこと
1. 「有価物」として売っている先の確認
金属くずや使用済みの機器を有価物としてスクラップ業者に売っている場合、施行後は、その業者が許可の対象になるかどうか、必要な許可を持っているかを確認する必要があります。許可を受けない業者との取引は、相手方の違反に巻き込まれるリスクがあります。
2. 有価物と廃棄物の線引きの見直し
運搬費を差し引くと赤字になる「逆有償」の場合、その運搬は産業廃棄物の収集運搬として扱われます。改正をきっかけに、売却している品目の扱いを見直しておくと安心です(有価物と廃棄物の判断)。
3. リチウムイオン電池などの混入防止
スクラップヤードの火災の原因として、使用済み製品に含まれる電池が問題になっています。廃棄する機器や金属くずに電池が入っていないか、分別を徹底します。
4. PCBの届出と処分の計画
使用中の低濃度PCB含有機器を持つ企業は、2027年4月からの届出・管理に備えて、対象機器を洗い出しておきます(PCB分析・含有調査)。
よくある質問
Q. 自社の工場で出る金属くずを売るだけでも影響がありますか?
売る側の企業が許可を受ける必要は通常ありませんが、売却先が新しい許可の対象になる場合、その業者が許可を取っているかを確認する必要があります。詳細な対象は今後の政省令で定められます。
Q. スクラップヤードの許可制はいつから始まりますか?
公布から2年6か月以内に施行され、2028年12月までの施行が予定されています。具体的な施行日は政令で定められます。
Q. 産業廃棄物の委託契約やマニフェストは変わりますか?
今回の改正の中心はスクラップヤードと災害廃棄物です。委託契約書の記載事項など、排出事業者の手続きに関する見直しは、今後の政省令の改正で示される可能性があります。環境省の発表を確認してください。
※施行日や対象の詳細は、今後の政省令で定められます。最新の情報は環境省の発表を確認してください。
Canopusは、拠点ごとの廃棄物・売却品目と引き渡し先の棚卸し、許可の確認、有価物と廃棄物の線引きの見直し、PCBの届出・処分計画までを支援しています。処理の委託契約は、お客様と処理業者が直接結びます。東京本社から関東・全国の拠点に対応しています。