食品工場の食品残渣は産業廃棄物|動植物性残さと事業系一般廃棄物の違い・あわせ産廃
食品工場から出る原料くず・製造くず・規格外品などは、「動植物性残さ」という産業廃棄物です。ところが中堅の食品メーカーでは、これらを事業系一般廃棄物として市町村の焼却施設や一般廃棄物の収集業者に出し続けているケースが少なくありません。
同じ「食品くず」でも、出す業種によって産業廃棄物か一般廃棄物かが変わります。この記事では、その違いと、区分を誤ったときのリスク、リサイクルに切り替える進め方を解説します。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
食品くずが産業廃棄物になる業種・ならない業種
動植物性残さは、業種が限定された産業廃棄物です。次の製造業から出る、原料として使った動植物の固形状の不要物が対象です。
- 食料品製造業
- 飲料・たばこ・飼料製造業(たばこ製造業を除く)
- 医薬品製造業
- 香料製造業
出典:横浜市「産業廃棄物の種類」
| 出す事業者 | 食品くず(固形)の区分 | 例 |
|---|---|---|
| 食品製造業(上記の業種) | 産業廃棄物(動植物性残さ) | 漬物の野菜くず、豆腐のおから、醸造かす、パン・菓子の製造くず、規格外品 |
| 卸売・小売・飲食店・ホテルなど | 事業系一般廃棄物 | 売れ残り、調理くず、食べ残し |
なお、食品くずの区分にかかわらず、包装のプラスチック(廃プラスチック類)、排水処理で出る汚泥、廃油は、どの業種から出ても産業廃棄物です。賞味期限切れや返品の商品を包装ごと捨てる場合は、中身と包装の両方の区分を考える必要があります。
一般廃棄物として出していると何が問題か
許可のない業者への委託になる
産業廃棄物の処理は、産業廃棄物の許可を持つ業者に委託しなければなりません。一般廃棄物の許可しか持たない業者に動植物性残さを渡すと、無許可業者への委託として、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(または併科)の対象になります(廃棄物処理法第25条第1項第6号)。マニフェストの交付や委託契約書の作成も、産業廃棄物として必要です。
市町村の施設が受け入れている場合(あわせ産廃)
市町村は、一般廃棄物とあわせて処理できる産業廃棄物を、自らの事務として受け入れることができます(同法第11条第2項、いわゆる「あわせ産廃」)。受入れの可否や条件は自治体ごとに異なります。「昔からクリーンセンターに出している」場合は、その自治体があわせ産廃として受け入れているのか、受入れの条件を満たしているのかを確認してください。
取引先・監査から指摘される
大手小売や食品メーカーとの取引では、取引先の環境監査や、サプライチェーン全体での食品ロス・リサイクルの報告を求められる場面が増えています。区分の誤りは、こうした場面で指摘されやすいポイントです。
食品リサイクル法で求められること
食品製造業は、食品リサイクル法の「食品関連事業者」です。食品廃棄物等の発生抑制と、再生利用(飼料化・肥料化・メタン化など)を進めることが求められます。2025年3月に公表された新しい基本方針では、食品製造業の再生利用等実施率の目標は2029年度までに95%です(業種全体の目標)。前年度の食品廃棄物等の発生量が100トン以上の事業者は、毎年度、発生量や再生利用の状況を国に報告します。
制度の詳細は食品リサイクル法の対象事業者・定期報告をご覧ください。
リサイクルへ切り替える進め方
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 現状の把握 | 品目ごとの発生量・発生工程・今の委託先と許可の種類・費用を一覧にする |
| 2. 区分の確認 | 産業廃棄物(動植物性残さ・廃プラ・汚泥など)と一般廃棄物を分け直し、自治体の扱い(あわせ産廃の有無)も確認する |
| 3. 分別の設計 | リサイクル先の受入条件(異物・包装・水分・塩分など)に合わせて、工程内の分別方法を決める |
| 4. 再生利用先の選定 | 飼料化・肥料化・メタン化など、品目と量に合う施設を選び、収集運搬とあわせて見積を比較する |
| 5. 契約・運用 | 産業廃棄物として委託契約・マニフェストを整え、定期的に実績を記録する |
焼却から再生利用に切り替えると、処理単価が下がる場合もあれば、分別の手間や運搬距離で費用が上がる場合もあります。品目ごとに比較して、優先順位をつけるのが現実的です。
自社の食品廃棄物の区分が正しいか、リサイクルに切り替えられるかを無料で確認します。
よくある質問
Q. 工場の食堂から出る残飯も産業廃棄物ですか?
従業員食堂の調理くずや食べ残しは、製造工程から出るものではないため、一般的には事業系一般廃棄物として扱われます。判断に迷う場合は自治体に確認してください。
Q. 液状の食品廃棄物(ジュース・調味液など)は?
液状のものは動植物性残さではなく、性状により廃酸・廃アルカリ・汚泥・廃油などの産業廃棄物として扱われることがあります。成分とpHを確認して区分します。
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