スーパー・外食チェーンの食品リサイクル転換|2029年度目標と多店舗の進め方
スーパーや飲食チェーンで「食品リサイクルに切り替えたいが、店舗が多くて手が付けられない」という声をよく聞きます。食品リサイクル法の新しい基本方針(2025年3月公表)では、2029年度までに食品小売業65%、外食産業50%の再生利用等実施率が業種全体の目標になりました。ESGの開示や取引先からの要請もあり、中堅の小売・外食チェーンでも対応が求められています。
この記事では、多店舗の小売・外食チェーンが焼却からリサイクルに切り替える手順と、つまずきやすい点を整理します。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
小売・外食の食品廃棄物の扱い
スーパー・コンビニ・飲食店などから出る売れ残りや調理くず、食べ残しは、事業系一般廃棄物です。収集運搬は、各市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に委託します。一方で、包装のプラスチックや廃油、グリーストラップの汚泥などは産業廃棄物です。
一般廃棄物の許可は市町村ごとのため、店舗のある市町村ごとに委託先や受入れのルールが違うことが、多店舗チェーンのリサイクルを難しくしている一番の理由です。
食品リサイクル法で求められること
| 業種 | 再生利用等実施率の目標(2029年度まで) |
|---|---|
| 食品製造業 | 95% |
| 食品卸売業 | 75% |
| 食品小売業 | 65% |
| 外食産業 | 50% |
実施率は、発生抑制・再生利用・熱回収・減量の合計で計算します。前年度の食品廃棄物等の発生量が100トン以上の事業者は、毎年度、発生量や再生利用の状況を国に定期報告します。フランチャイズチェーンは、本部と加盟店の発生量を合算して判断する場合があります。制度の詳細は食品リサイクル法の対象事業者・定期報告をご覧ください。
リサイクルに切り替える5つの手順
1. 店舗ごとの発生量と委託先を一覧にする
店舗ごとに、食品廃棄物の量、品目(売れ残り・調理くず・食べ残し)、今の委託先と許可、費用を集めます。ここが本部で把握できていないと、どこから手を付けるかを決められません。
2. 再生利用先の候補を地域ごとに探す
飼料化・肥料化・メタン化(バイオガス)など、店舗の近くで受け入れてくれる施設を探します。品目や包装の有無、量によって受け入れられる施設が変わります。
3. 収集運搬のルートを組む
再生利用施設まで運ぶ一般廃棄物の収集運搬業者を、市町村ごとに確保します。店舗が多い地域から順にルートを組むと、効果が出やすくなります。
4. 店舗での分別を決める
包装の外し方、異物(割りばし・プラスチック・カトラリー)の混入防止、保管容器と保管場所を決め、マニュアルと店舗への説明をセットで行います。分別が守られないと、リサイクル先で受け入れを断られることがあります。
5. 実績を記録し、定期報告・開示に使う
店舗ごとのリサイクル量・委託先・費用を毎月記録します。定期報告やESG開示の数字は、この記録から作ります。
店舗ごとの現状把握から、地域ごとのリサイクル先・収集運搬業者の選定まで、無料でご相談いただけます。
再生利用事業計画(リサイクルループ)の活用
食品関連事業者が、リサイクル業者・農林漁業者等と連携して、食品残さで作った飼料・肥料で育てた農畜産物を自社で利用する計画を作り、国の認定を受ける制度です。認定を受けると、一般廃棄物の収集運搬業の許可が不要になるなどの特例を使えます。2026年6月時点で65件が認定されています(農林水産省)。
市町村ごとの許可がネックになる多店舗チェーンにとっては、広域で回収ルートを組む手段になります。ただし、計画づくりには農業側のパートナー探しと、利用する農畜産物の量の確保が必要です。リサイクルループの作り方はリサイクルループ構築事例と実践ステップで解説しています。
よくあるつまずき
- 費用が上がる:焼却より運搬距離が延び、費用が上がる場合があります。店舗の多い地域・発生量の多い店舗から始め、全体の費用で判断します。
- 分別が定着しない:アルバイトが多い店舗では、分別ルールを簡単にし、異物が多い店舗をデータで把握してフォローします。
- 受入先が見つからない地域がある:すべての店舗を一度に切り替えず、地域ごとに順番を決めて進めます。
- 数字がそろわない:委託先ごとに伝票の形式が違い、集計に手間がかかります。最初から記録の様式をそろえておきます。
店舗の廃棄物管理をまとめて効率化したい場合は、廃棄物管理BPOサービスもご覧ください。
食品廃棄物の区分の見直し・リサイクル化を無料でご相談ください
Canopusは、小売・外食チェーンの食品リサイクルについて、店舗ごとの現状把握、地域ごとの再生利用先・収集運搬業者の選定と見積比較、店舗の分別ルールづくり、実績の記録と定期報告・開示の準備までを支援しています。処理の委託契約は、お客様と処理業者が直接結びます。東京本社から関東・全国に対応し、関西ではグループ会社の新関西テクニカが食品リサイクルの収集運搬に対応しています。2営業日以内に担当者からご連絡します。