最終処分場の残余年数はあと何年?産業廃棄物は20.3年、企業が今から取り組むこと
埋立処分を行う「最終処分場」には限りがあります。あとどれくらい埋め立てられるかを示すのが「残余年数」です。環境省が2026年3月に公表した数値をもとに、現状と、排出事業者が今から取り組むべきことを解説します。
監修:劉 泰宏(株式会社Canopus 代表取締役)
東京大学教育学部卒業後、野村総合研究所に入社。NRI Singaporeへの出向を経て、同社Department Headを務める。2022年に株式会社新関西テクニカ常務取締役、同年12月に株式会社Canopus代表に就任。
最終処分場の残余年数(最新値)
| 区分 | 残余容量 | 残余年数 | 時点 |
|---|---|---|---|
| 産業廃棄物 | 1億7,741万m³(前年から322万m³減) | 20.3年(前年から0.3年増) | 2024年4月1日現在 |
| 一般廃棄物 | 9,329万m³(前年度から2.6%減) | 24.9年(前年度24.8年) | 2024年度末 |
出典:環境省「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況(令和5年度実績等)」(2026年3月26日公表)、「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)」(2026年3月27日公表)。産業廃棄物の最終処分場は1,551か所(2024年4月1日現在)です。
残余年数の意味
残余年数は、残っている容量を、その年の埋立量で割って算出した「今のペースで埋め立て続けた場合にあと何年もつか」の目安です。埋立量が減れば年数は延び、新しい処分場ができなければ容量は減っていきます。
実際、産業廃棄物の残余容量は前年から減っている一方で、残余年数はわずかに延びています。これはリサイクルや減量化が進み、毎年の埋立量が減っているためと考えられます。ただし、最終処分場は住民の合意形成などのハードルが高く、新しく設置するのは簡単ではありません。
企業にとっての影響
- 処分費の上昇要因になりうる:埋立先が限られると、処分費や運搬費が上がる要因になります。
- 委託先の受け入れ制限:埋立先の確保が難しい品目では、委託先が受け入れ量を制限する可能性があります。
- 開示・取引先からの要請:ESG開示や取引先の調達基準で、リサイクル率や埋立量の削減を求められる場面が増えています。
排出事業者が取り組む埋立削減
- 品目ごとの処理方法を把握する:委託先で最終的に埋め立てられている品目と量を、マニフェストや委託先への確認で把握します。
- 分別を徹底する:混合廃棄物を減らし、リサイクルできる品目を分けて出します。
- リサイクルできる委託先を選ぶ:同じ品目でも、委託先によってリサイクル率は異なります。
- 拠点ごとの数字を見える化する:拠点別の排出量・リサイクル率・埋立量を毎年比較し、改善の優先順位を決めます。
コスト面の見直しは廃棄物コスト削減の完全ガイド、国の目標は循環型社会形成推進基本計画とは?、リサイクルを事業として進める制度は再資源化事業等高度化法とは?で解説しています。
よくある質問
Q. あと20年で最終処分場はなくなるのですか?
A. 残余年数は「今のペースで埋め立て続けた場合」の目安です。埋立量の削減や新しい処分場の設置によって変わるため、20年後になくなるという意味ではありません。ただし、余裕があるとはいえず、埋立に頼らない処理を進めることが求められています。
Q. 自社の埋立量はどうやって把握すればよいですか?
A. 委託先ごとに、中間処理後にどれだけが最終処分されているかを確認します。委託先から処理実績の報告を受ける、現地確認で処理フローを聞き取るなどの方法があります。