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食品リサイクル法の対象事業者・定期報告・2024年改正を徹底解説

食品リサイクル法の対象事業者・定期報告・2024年改正を徹底解説

「自社は食品リサイクル法の対象なのか」「定期報告はいつ、どこに出せばよいのか」——そう頭を抱えている環境担当者や管理部門のご担当者は少なくありません。食品リサイクル法は農林水産省・環境省など6省庁が横断的に所管する複合的な制度であり、業種・廃棄量・処理方法によって義務内容が大きく異なります。

本記事では、製造・卸売・小売・外食の4業種ごとに対象可否を即判定できるチェックリストを用意しました。さらに、年間100トン(t)閾値の計算シート例、定期報告の5ステップ手順、2024年(令和6年)改正の実務インパクト、廃棄物処理法との違いまで、表と具体例を交えて網羅的に解説します。

読み終えれば「自社は対象か否か」「次に何をすべきか」が明確になる構成にしています。ぜひ最後までご活用ください。

対象か否かを即判定:食品リサイクル法の対象事業者と義務まとめ

結論からお伝えします。食品リサイクル法の対象となるのは「食品関連事業者」に分類されるすべての業種です。ただし、年間の食品廃棄物等の発生量が100t以上になると「定期報告」の提出義務が加わります。まずは業種ごとの対象範囲と義務の有無を確認しましょう。

業種別チェックリスト:製造・卸売・小売・外食の対象範囲

食品リサイクル法(正式名称:食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)の対象となる「食品関連事業者」は、日本標準産業分類に基づき以下の4業態に大別されます。自社の業種と照らし合わせながら確認してください。

  • 食品製造業:缶詰・乳製品・調味料・冷凍食品などを製造するすべての事業者
  • 食品卸売業:食料品・飲料を仕入れて小売や外食産業へ販売する事業者
  • 食品小売業:スーパーマーケット・コンビニエンスストア・百貨店の食料品売場・ドラッグストアの食品部門を含む
  • 外食産業:レストラン・ファストフード・宅配・給食事業者・ホテルの食事部門を含む

注意すべきは、農業・畜産業・水産業(一次産業)は原則として対象外である点です。ただし、一次産業者が食品の製造・加工を行い一般消費者へ販売する「六次産業化」事業を営む場合は、製造業または小売業として対象となる可能性があります。

次に、対象可否と義務内容の関係を整理した早見表を示します。

業種 食品関連事業者への該当 年間100t未満 年間100t以上
食品製造業 再生利用等の努力義務 努力義務+定期報告義務
食品卸売業 再生利用等の努力義務 努力義務+定期報告義務
食品小売業 再生利用等の努力義務 努力義務+定期報告義務
外食産業 再生利用等の努力義務 努力義務+定期報告義務
農業・畜産・水産(一次産業) 原則×

100t未満の事業者でも「努力義務」は課されています。定期報告が不要なだけであり、発生抑制や再生利用に向けた取り組みを進めることが法律上求められている点を忘れないようにしましょう。

年間100t判定の計算方法・計算シート例と業種別削減目標値一覧

年間100tの閾値を判定する際、「食品廃棄物等」の範囲を正しく把握することが最初のステップです。食品廃棄物等には、食品の製造・流通・消費の過程で生じる以下のものが含まれます。

  • 食品の製造・加工・調理の過程で発生する規格外品・残さ
  • 賞味期限切れや品質不良による返品・廃棄品
  • 食べ残しや調理くず
  • 有価物として売却できる場合でも、食品循環資源に該当するもの(飼料・肥料の原材料として他者へ売却しているものは廃棄量に算入しないケースもあるため、所管省庁への確認が必要)

100tの計算は「事業者単位(法人単位)」が原則です。複数の工場・店舗を持つ企業は全拠点の発生量を合算して判定します。個々の工場が100t未満であっても、法人合計が100t以上になれば定期報告の義務が生じる点に注意が必要です。

以下は、複数拠点を持つ企業が法人合計の発生量を集計する際に活用できる計算シートの例です。各拠点の担当者に月次で入力してもらい、本社で年度集計する運用を想定しています。

集計項目 A工場 B工場 C店舗群(合計) 法人合計
製造・加工残さ(t) 入力欄 入力欄 入力欄 自動集計
規格外品・返品廃棄(t) 入力欄 入力欄 入力欄 自動集計
売れ残り・食べ残し(t) 入力欄 入力欄 入力欄 自動集計
有価売却分(飼料・肥料向け)(t) 入力欄 入力欄 入力欄 自動集計
食品廃棄物等の発生量合計(t)※ 小計 小計 小計 判定値

※有価売却分を発生量に算入するかどうかは廃棄物の性状・取引実態によって異なるため、農林水産省または環境省の担当窓口に事前確認することを推奨します。

たとえば、食品製造業のA社(工場2拠点・直営店50店舗)が集計した結果、A工場40t・B工場35t・直営店舗群合計32tであった場合、法人合計は107tとなり、100t超過で定期報告義務が発生します。各拠点が個別には100t未満であっても法人全体で超過する——この点が実務上の見落としとして最も多いケースです。

集計の精度を高めるために、以下の運用ルールを整備しておくと効果的です。

  • 廃棄物の計量記録は月次で拠点ごとに作成し、本社担当部署へ共有する
  • 有価売却した食品循環資源の出荷伝票・売却記録を別途保管し、廃棄量との区分を明確にする
  • 年度末(3月末)に法人合計を確定させ、4月中に所管省庁への確認・照会を完了させる
  • 翌年度に拠点の増設・業種変更がある場合は、閾値超過の見込みを事前に試算しておく

業種ごとに設定されている削減目標(判断基準省令に基づく再生利用等実施率の目標)は以下のとおりです。目標値は改正省令によって変更されることがあるため、農林水産省・環境省の公表資料で最新値を確認してください。

業種 再生利用等実施率の目標(参考) 主な対象廃棄物
食品製造業 95%以上(業種により異なる) 製造残さ・規格外品
食品卸売業 70%以上 返品・期限切れ品
食品小売業 55%以上 売れ残り・廃棄食品
外食産業 50%以上 食べ残し・調理くず

目標値を達成できていない場合、農林水産大臣・環境大臣から「勧告」を受けることがあります。勧告に従わないと事業者名が公表されるリスクも伴うため、未達成が続く前に再生利用手法の見直しと発生抑制の強化を検討しましょう。

食品リサイクル法とは?制度の目的・仕組み・改正の歴史

制度の全体像を理解することで、個別の義務対応がぐっとスムーズになります。ここでは正式名称・所管体制・再生利用の優先順位・改正の歴史を整理します。

法律の正式名称と6省庁にまたがる主務大臣体制

食品リサイクル法の正式名称は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」です。2001年(平成13年)5月に施行され、食品廃棄物を「廃棄物」ではなく「循環資源」として再利用することを促進するために制定されました。

本法律は農林水産省・環境省の共管を基本としつつ、食品製造業は経済産業省、流通・小売は財務省・経済産業省、外食は厚生労働省・農林水産省が関与するなど、実質的に6省庁が横断的に関与する複合的な体制をとっています。このため、実務上の照会先が業種によって異なる点に注意が必要です。

改正の歴史を年表形式で示すと、以下のように整理できます。

  • 2001年:食品リサイクル法 施行(再生利用の努力義務・定期報告制度を導入)
  • 2007年:食品リサイクルループ(食品廃棄物を肥料・飼料化し農業生産に戻すサイクル)の法制化、登録再生利用事業者制度の創設
  • 2017年:判断基準省令の改正(業種別の再生利用等実施率目標を引き上げ)
  • 2024年:基本方針の改定(エネルギー利用推進・焼却削減目標の参考値設定・登録制度の緩和)

一連の改正は、循環型社会形成推進基本法(環境省所管)や食品ロス削減推進法(農林水産省・消費者庁所管)とも連動しています。カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる考え方)の実現という国家目標に向けた取り組みの一環でもあるといえます。

再生利用等の優先順位:発生抑制→再生利用→熱回収→減量

食品リサイクル法では、食品廃棄物等の処理に際して「優先順位」が明確に定められています。高い順から以下のとおりです。

  1. 発生抑制(リデュース):そもそも食品廃棄物を発生させない取り組みを最優先とする
  2. 再生利用(リサイクル):飼料化・肥料化・メタン化・油脂化などで食品循環資源として再利用する
  3. 熱回収:焼却時の熱を電力・熱エネルギーとして回収する(2024年改正で推進方針が強化)
  4. 減量:脱水・乾燥等によって廃棄物の量そのものを減らす

再生利用の手法ごとに、コストや適用場面が異なります。以下の比較表を委託先選定の参考にしてください。

手法 主な用途 向いている廃棄物 処理コスト目安(円/t) 導入事例・実績の特徴
飼料化 家畜の餌 食品残さ・残飯・野菜くず 5,000〜20,000円/t程度 食品製造業・スーパーで普及。水分管理が容易な廃棄物で導入実績が多い
肥料化(コンポスト) 農業用堆肥・液肥 生ごみ・野菜残さ 10,000〜30,000円/t程度 道の駅・農業法人との連携事例あり。地域循環型モデルとして行政支援を受けやすい
メタン化(バイオガス) 電力・熱エネルギー 水分の多い有機物全般 15,000〜50,000円/t程度(初期投資別) 大規模食品工場・自治体施設での実績あり。設備導入後は廃棄物処理費の大幅削減事例も
油脂化 バイオディーゼル燃料 廃食用油 0〜10,000円/t程度(油質次第で有価も) 外食チェーン・揚げ物専門店での回収ルート確立事例が存在。油質が高ければ逆有償も可能
熱回収(焼却) 発電・蒸気供給 乾燥物・混合廃棄物 20,000〜60,000円/t程度 再生利用より優先度は低い。他手法が困難な場合の最終選択肢として位置づける

上記の処理コストはあくまで参考目安であり、廃棄物の水分含有率・輸送距離・委託先の設備規模によって実際の単価は変動します。複数の登録再生利用事業者から見積もりを取得し、比較検討することが重要です。

コストだけで選ぶのではなく、「自社の廃棄物の性状」「近隣の登録再生利用事業者の対応品目」「食品リサイクルループへの参加可否」を複合的に検討することが望ましいといえます。

【2024年改正】実務担当者が押さえるべき3つの変更点

2024年(令和6年)の基本方針改定は、実務フローに直結する内容を含んでいます。「改正前・改正後・実務への影響」の3列で整理しました。

変更点 改正前 改正後 実務への影響
①登録再生利用事業者制度の緩和 登録後でなければ食品循環資源を受け入れ不可 登録申請中(事前登録)でも一定条件下で受け入れ可 新規委託先の開拓スピードが向上。切り替え時の空白期間リスクが低減
②エネルギー利用推進の基本方針追加 熱回収は優先順位が低く推奨されにくかった メタン発酵・熱回収を積極的に推進する方針を明示 バイオガス事業者との連携が国の方針として後押しされ、補助金・支援策が活用しやすくなる
③焼却・埋立て削減目標の参考値設定 削減目標は再生利用等実施率のみ 焼却量・埋立て量の削減目標の参考値が新設 定期報告や社内KPI(重要業績評価指標)に焼却量・埋立て量の把握・削減が求められるようになる

登録再生利用事業者制度の緩和:事前登録が可能になり委託先選定も変わる

従来、食品リサイクルループを利用する場合は「登録再生利用事業者」としての登録完了が前提でした。2024年改正後は、農林水産大臣・環境大臣への登録申請中であっても、一定の要件を満たせば食品循環資源の受け入れが可能となりました。

これにより、委託先を新規開拓する際の「登録待ち」によるタイムロスが短縮されます。ただし、申請が却下された場合は受け入れを中止する必要があるため、委託契約に条件付き条項を設けておくことが望ましいといえます。

委託先が正規の登録再生利用事業者であるかどうかを確認するには、農林水産省・環境省が公表している「登録再生利用事業者名簿(登録台帳)」を参照することが確実な方法です。具体的な確認手順は以下のとおりです。

  1. 農林水産省の食品リサイクル関連ページにアクセスし、「登録再生利用事業者一覧」を検索する(農林水産省ウェブサイト内の食品産業環境対策室のページに掲載)
  2. 一覧表またはPDFファイルから対象事業者の「登録番号」「登録事業者名」「対応品目」「登録有効期限」を確認する
  3. 委託先から提示された登録番号と一覧表の番号が一致するかを照合する
  4. 登録有効期限が切れていないか、更新申請中の場合はその旨を書面で確認する
  5. 対応品目(飼料化・肥料化・メタン化等)が自社の廃棄物の性状と合致しているかを確認する

登録番号は定期報告書の「委託先」欄に記入する必要があるため、契約締結前に必ず取得・保管しておきましょう。名簿に掲載のない事業者への委託は、食品リサイクルループの要件を満たさない可能性があります。

登録再生利用事業者を選定する際の主なチェックポイントは以下のとおりです。

  • 農林水産省・環境省の登録台帳に登録番号が掲載されているか(または申請中であることが書面確認できるか)
  • 自社の廃棄物の品目・性状(水分率・油脂含有量等)に対応しているか
  • 自社拠点から適切な輸送距離にあり、輸送コストが現実的か
  • 食品リサイクルループの農業者・肥料製造業者との連携実績があるか
  • マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行・管理体制が整っているか

エネルギー利用推進と焼却・埋立て削減目標の新設

2024年改正のもう1つの柱は、カーボンニュートラルの観点からメタン発酵・バイオガス利用などのエネルギー利用を国として推進する方針を明確にしたことです。従来は「再生利用(飼料・肥料化)を最優先し、それが困難な場合に熱回収を選ぶ」という位置づけでした。

改正後は、再生利用と並行してエネルギー利用も積極的に推進するよう基本方針が更新されています。食品廃棄物からバイオガスを製造し、電力や熱として活用する「メタン化」は、カーボンニュートラルの実現に貢献できる手法として注目が高まっています。

焼却・埋立て削減目標の参考値が新設されたことで、今後は「再生利用等実施率」だけでなく「焼却量の絶対値削減」も内部管理指標(KPI)として設定することが推奨されます。ESG(環境・社会・ガバナンス)報告書への開示を見据えた管理体制の整備を、今から進めておくことが賢明といえます。

削減目標未達成時の改善アクションプランと業種別施策事例

再生利用等実施率の目標に届いていない場合、「どこから手をつければよいかわからない」という声をよく聞きます。ここでは、目標未達成の原因を特定するための診断ステップと、業種ごとの具体的な改善施策を整理します。

目標未達成時の4ステップ改善アクションプラン

再生利用等実施率が目標値を下回っている場合、闇雲に施策を追加するより、原因を段階的に絞り込むことが先決です。以下の4ステップで改善アクションを進めましょう。

  1. ギャップの数値化:現状の再生利用等実施率と目標値の差(例:食品小売業で実施率40%→目標55%、ギャップ15ポイント)を算出し、不足分を「何トン分の再生利用拡大」に相当するか換算する
  2. 廃棄物の性状別仕訳:廃棄物の種類ごと(野菜くず・惣菜残さ・廃食用油・包装混合ごみ等)に発生量と現在の処理方法を一覧化し、再生利用に切り替えられる品目を特定する
  3. 委託先の拡充・見直し:現在の委託先が対応できていない品目について、登録再生利用事業者の登録台帳から新たな委託候補を選定し、見積もり依頼・試験受け入れを実施する
  4. 発生抑制策の追加:再生利用拡大だけで目標達成が困難な場合は、発注量の見直し・賞味期限管理の精緻化・売り場での値引き販売の前倒しなど発生抑制策を並行して実施する

この4ステップを年度の上半期(4〜9月)中に実施し、下半期(10〜3月)で施策の効果を検証するサイクルを確立することが、翌年度の定期報告で改善実績を示すうえで効果的です。

業種別の改善施策事例

業種ごとに廃棄物の性状や発生パターンが異なるため、効果的な施策も変わります。以下に業種別の代表的な改善施策事例を示します。

業種 主な課題 推奨される改善施策の例 期待できる効果
食品製造業 製造残さの一部が異物混入で再生利用不可 製造ラインの分別ルール見直し・異物除去工程の追加 再生利用可能な廃棄物の比率を高め、実施率が向上
食品卸売業 返品品が多種混合で飼料化業者が受け入れ困難 返品品の受け入れ時に品目別・日付別に分別保管するルールを設定 飼料化・肥料化業者への委託が可能になり、再生利用率が改善
食品小売業 生鮮3品(精肉・鮮魚・青果)の廃棄量が多い 値引き販売の開始タイミングを閉店2〜3時間前に前倒し、地域の飼料化業者と定期回収契約を締結 廃棄量削減と再生利用率向上を同時に達成した事例あり
外食産業 食べ残しが主な廃棄物で水分量が多く処理困難 小盛りメニューの導入・食べ残し削減キャンペーン、メタン化施設への委託契約を検討 発生抑制と熱回収の組み合わせで削減目標への貢献度が高まる

上記はあくまで代表例であり、実際の効果は廃棄物の発生規模・地域の受け入れ体制によって異なります。改善施策を選定する際は、農林水産省・環境省が公表している「食品リサイクル優良事例集」なども参考にしてみてください。

目標達成に向けた優先順位の考え方

施策の優先順位を決める際は、「再生利用等実施率への貢献度」と「導入のしやすさ(コスト・スピード)」の2軸で評価することが効率的です。

  • 即効性が高い施策(短期で実施率向上に直結):現在、焼却処分している品目のうち飼料化・肥料化に切り替えられるものを特定し、登録再生利用事業者へ委託を開始する
  • 中期的な施策(3〜6か月で効果が出る):拠点ごとの分別精度を高めるための社員研修・マニュアル整備、発注量の見直しによる発生量の削減
  • 長期的な施策(設備投資・制度変更を伴う):自社またはグループ会社でのメタン化設備導入、農業法人との食品リサイクルループの構築

農林水産大臣・環境大臣から勧告を受けた場合は、改善計画書の提出を求められることがあります。その際も上記の優先順位に沿って計画を構成すると、行政との協議がスムーズに進みやすくなります。

定期報告の実務手順と罰則:年間廃棄量100t以上の事業者必読

年間の食品廃棄物等の発生量が100t以上の食品関連事業者は、判断基準省令(農林水産省・環境省令)に基づき毎年度の定期報告が義務づけられています。報告漏れは罰則の対象となるため、5つのステップで手順を確認しましょう。

定期報告書の提出方法・期限・様式の記入ポイント

定期報告の提出は、以下の5ステップで進めます。

  1. 対象判定:前年度(4月〜翌年3月)の食品廃棄物等の発生量を法人単位で合算し、100tを超えているか確認する
  2. 様式の入手:農林水産省・環境省が提供する電子申請システム(e-Gov)または所定の様式をダウンロードし、記入の準備をする
  3. 主要記入項目の入力:発生量・再生利用等実施量・再生利用等実施率・発生抑制の取り組み内容・委託先(登録再生利用事業者名)を入力する
  4. 提出先への送付:農林水産省または環境省の電子申請システム(e-Gov)を通じてオンラインで提出する(業種により所管省庁が異なるため確認が必要)
  5. 提出期限の確認:対象年度終了の翌年度6月末日までに提出する(例:4月〜翌3月の年度であれば、翌年6月末が期限)

記入時に特に注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 発生量の集計は「食品廃棄物等」の定義に基づき、有価売却した食品循環資源も含めるか否かを事前に確認する
  • 複数の事業場を持つ場合は、事業場ごとの内訳も記入する欄があるため、各拠点からデータを事前に収集しておく
  • 委託先の登録番号(登録再生利用事業者番号)は、農林水産省・環境省の公表台帳から転記する
  • 発生抑制の取り組み欄は「具体的な施策名と削減効果」を数値で記入するほど評価されやすい

報告義務違反の罰則と行政指導の実際の流れ

定期報告を怠ったり虚偽の内容を報告したりした場合、食品リサイクル法第34条に基づき50万円以下の過料が科される可能性があります。過料は刑事罰ではなく行政上の制裁ですが、事業者名の公表や業界団体への通知につながるリスクも伴います。

行政指導の流れは一般的に以下のように進みます。

  1. 報告未提出または不備を農林水産省・環境省が確認
  2. 担当省庁から「報告徴収」または「是正勧告」の通知が届く
  3. 是正されない場合は、事業者名・違反内容の公表が検討される
  4. 最終的に過料の裁判所手続きへ進む場合がある

一度でも報告漏れが発覚すると、その後の行政との関係において不利になることがあります。提出期限(翌年度6月末)を社内カレンダーに登録し、3か月前(3月末)をめどに各拠点のデータ集計を完了させる運用ルールを整備しておくことを強くお勧めします。

食品リサイクル法と廃棄物処理法の違い:委託先選定への実務的影響

食品廃棄物の処理を外部委託する際、「食品リサイクル法(食循法)」と「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」のどちらが適用されるかを正しく理解することが不可欠です。この2つの法律と、副次的に関連する肥料取締法(農林水産省所管)の違いを三者対比表で整理します。

項目 食品リサイクル法 廃棄物処理法 肥料取締法
所管省庁 農林水産省・環境省(共管) 環境省 農林水産省
対象となるもの 食品循環資源(再生利用可能な食品廃棄物等) 産業廃棄物(動植物性残さを含む) 肥料として販売・使用される製品
有価物の扱い 有価売却できれば廃棄物に非該当の場合あり 無価または逆有償なら産廃として規制 肥料登録が必要
必要な許可・登録 登録再生利用事業者(農水省・環境省登録) 産業廃棄物処分業許可(都道府県知事許可) 肥料の登録・届出(農水省)
違反時の罰則 50万円以下の過料・事業者名公表 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 3年以下の懲役または100万円以下の罰金

廃棄物処理法は食品リサイクル法より罰則が格段に重い点に注目してください。食品廃棄物を再生利用せずに不適切な業者へ委託した場合、廃棄物処理法違反として刑事罰の対象となるリスクがあります。

登録再生利用事業者と産廃処分業者の使い分け方

食品廃棄物を委託する際の判断フローは、以下の考え方に沿って整理できます。

  • 食品循環資源として再生利用できる場合:登録再生利用事業者に委託し、食品リサイクルループの仕組みを活用する。廃棄物処理法の産廃マニフェストが不要になる場合があり、書類管理の負担が軽減される
  • 再生利用が困難な廃棄物(異物混入・腐敗等):産業廃棄物(動植物性残さ)として廃棄物処理法に基づき処理し、都道府県知事許可を持つ産廃処分業者に委託する
  • 飼料・肥料として他者へ有価売却できる場合:廃棄物に該当しない「有価物」として扱われる可能性があり、産廃許可が不要になるケースがある(ただし、売却価格・実態に基づき所管自治体に確認が必要)

委託先が「登録再生利用事業者」なのか「産廃処分業者」なのかによって、適用される法律・マニフェストの必要性・報告書の記載内容がすべて変わります。契約前に必ず登録番号・許可証の写しを入手し、自社の保管書類として管理しておきましょう。

まとめ:実務担当者が今日から取るべき行動

食品リサイクル法は、食品製造・卸売・小売・外食のすべての食品関連事業者を対象とする法律であり、年間100t以上の事業者には定期報告義務が課されます。2024年改正では登録制度の緩和・エネルギー利用推進・焼却削減目標の新設という3つの変更点が加わり、今後の実務に直接影響する内容といえます。廃棄物処理法との違いを正しく理解したうえで委託先を選ぶことが、法令リスクの回避につながります。

目標未達成の場合は、ギャップを数値化→廃棄物の性状別仕訳→委託先の拡充→発生抑制策の追加という4ステップで改善アクションを組み立てることが効果的です。業種によって有効な施策は異なるため、業種別の事例を参考にしながら優先順位を決めていきましょう。

記事を読み終えたら、以下のアクションチェックリストで自社の現状を点検してください。

  • □ 自社の日本標準産業分類上の業種コードを確認し、食品関連事業者に該当するか判定した
  • □ 前年度の食品廃棄物等の発生量を法人単位で合算し、100t超過の有無を確認した(計算シートを活用)
  • □ 定期報告の提出期限(翌年度6月末)を社内カレンダーに登録し、データ収集スケジュールを設定した
  • □ 委託先が登録再生利用事業者であるか産廃処分業者であるかを確認し、農林水産省・環境省の登録台帳で登録番号を照合した
  • □ 業種別の再生利用等実施率目標値を確認し、自社の実施率と比較のうえ、ギャップがあれば改善施策の優先順位を設定した
  • □ 2024年改正に伴い、焼却量・埋立て量の内部KPI(重要業績評価指標)を設定する検討を開始した
  • □ 目標未達成の場合は4ステップの改善アクションプランを作成し、上半期中に施策を実施した

1つひとつ確認を進めることで、報告漏れや法令違反のリスクをゼロに近づけられます。不明点が生じた際は、農林水産省または環境省の食品リサイクル担当窓口に問い合わせることが、最も確実な対応策といえます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 食品リサイクル法の対象となる事業者はどの業種ですか?

食品製造業・食品卸売業・食品小売業・外食産業の4業態が「食品関連事業者」として対象となります。農業・畜産業・水産業など一次産業は原則として対象外ですが、製造・加工・販売を兼業する場合は対象になることがあります。自社の日本標準産業分類の業種コードを確認するのが最初のステップです。六次産業化を行っている農業者など、業態が複合している場合は農林水産省の担当窓口に相談することを推奨します。

Q2. 年間の食品廃棄量が100t未満の場合、定期報告義務はありますか?

100t未満の場合、定期報告の提出義務はありません。ただし、食品廃棄物の発生抑制・再生利用等に努める「努力義務」は100t未満であっても課されています。廃棄量が100tに近づいている場合は、翌年度に義務が発生する可能性を見据えて、今から報告様式の確認とデータ管理体制の整備を進めておくことが賢明です。

また、複数拠点を持つ企業は各拠点の合算値で判定されるため、個別拠点が100t未満であっても法人全体では超過するケースに注意が必要です。

Q3. 食品リサイクル法の定期報告はいつまでにどこに提出すればよいですか?

提出期限は対象年度終了の翌年度6月末日です。提出先は農林水産省または環境省(業種により異なる)で、e-Govを通じたオンライン提出が基本となります。記入漏れや提出遅延は50万円以下の過料の対象となるため、3月末をめどに各拠点のデータ集計を完了させるスケジュールを設定することをお勧めします。委託先の登録番号も報告書に記入が必要なため、農林水産省・環境省の登録台帳で事前に照合・保管しておくと、提出作業がスムーズに進みます。

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